今回紹介する本は、「待ったなし!BCP(事業継続計画)策定と見直しの実務必携(本田 茂樹著 経団連出版)」です。
本書は以下の5部構成になっています。
- リスクを認識する 認識しないリスクには備えられない
- BCPの考え方を理解する BCPの要諦
- 事業を止めない 防災がBCPの大前提
- 策定の基本手順 BCPを策定する
- 実効性を高める BCPの見直しとレベルアップ
1.リスクを認識する 認識しないリスクには備えられない
「リスクを認識する 認識しないリスクには備えられない」では、主に以下のことが述べられています。
1.BCP(事業継続計画)とは何か
- 内閣府(防災担当)が策定した「事業継続ガイドラインーあらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応ー」(令和3年4月改定)では、BCPを「大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など、不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことを事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)と呼ぶ」と定義している。
- BCPの目指すところが、自社の事業を中断させないこと、また中断した場合でも、可能な限り短い期間で復旧させること。
- 不測の事態が起こった場合、その結果事象、たとえば地震で自社ビルが損傷し使えない、あるいは感染症で従業員が出社できないなどの事態をどのように克服し、事業を継続していくかがポイントになる。
2.企業の事業活動に与えるリスクを認識する
(1)認識しないリスクには備えられない
- BCPの策定にあたっては、まず自社の事業活動に影響を与えるリスクを認識するところから始める。
(2)自然災害及び感染症で何が起こるか認識する
- 企業は実際に自然災害や感染症の流行に見舞われた際、何が起こるのか、そしてそれが自社にどのような影響を与えるのかを認識することが重要。
- 自然災害の被害を認識する
- 地震の被害を認識する
- 家屋の倒壊に加え、市街地火災、インフラ、ライフラインに大きな被害が及ぶ。
- 水害の被害を認識する
- 1日の降水量が200ミリ以上の大雨を観測した日数が増加傾向にある。
- ハザードマップを活用して、自社の拠点が水害に対してどの程度脆弱であるかを認識したうえで、対策を講じていくことが必須。
- 地震の被害を認識する
- 感染症の被害を認識する
- 感染症の影響は主として人、従業員への健康被害。
- 自社の建物、設備、ライフラインの被害が小さい場合でも、従業員の多くが感染症に罹患して就業できなければ、事業の継続は困難。
- 未知の感染症が大流行した場合の、経済的・社会的被害が極めて大きいことを認識しておくことが重要。
- 自然災害の被害を認識する
(3)自然災害、感染症が事業に与える影響を認識する
企業の事業継続に必要な経営資源に与える影響
- 3つの経営資源
主な経営資源は、次の3つが考えられる。- 建物・設備
- 建物:自社ビル、工場、倉庫など
- 設備:製造機械やIT機器類
- 従業員
- ライフライン及びサプライチェーン
- ライフライン:電気、ガス、上下水道、電話、通信サービス
- サプライチェーン:自社製品の原材料・部品の調達先や配送事業者
- 建物・設備
- リスクが経営資源に与える影響を認識する
- 自然災害
- 地震や台風などの自然災害に見舞われると、その規模により「従業員」、「建物・設備」、「ライフライン」の3つの経営資源すべてに大きな影響が生じる。
- 感染症
- 主として「従業員」に及ぶ。
従業員が出社できない事態を招くと事業の継続は難しい。 - 自社の従業員に感染者が発生していなくても、サプライチェーンを支える企業で多くの感染者が出ると、自社の事業継続にも大きな支障が生じる。
- 主として「従業員」に及ぶ。
- 自然災害
2.BCPの考え方を理解する BCPの要諦
「BCPの考え方を理解する BCPの要諦」では、主に以下のことが述べられています。
1.BCP策定の考え方
(1)基本姿勢
BCPの押さえておきたいポイントは次の通り。
- 従業員・家族の命を守る~生き残ることが大前提
- 建物・設備が無事で、ライフラインが元に戻っても、自社の従業員に死傷者が多く発生していたのでは、事業を復旧し継続することは困難。
また、従業員の家族がケガをしている状況であれば、従業員が職場に復帰するまでに時間がかかる。 - BCPでは、経営資源の一つである従業員の安全を確保し、生き残ってもらうことが極めて重要。
- 企業は、従業員やその家族を守れるよう、適切な防災教育を進めることが求められる。
- 建物・設備が無事で、ライフラインが元に戻っても、自社の従業員に死傷者が多く発生していたのでは、事業を復旧し継続することは困難。
- 緊急時には優先順位がすべて~「やらない」という選択もある。
- 経営資源が限られる中、平常時よりも多くの業務に対応することはできない。
重要となるのは、緊急事態に陥ったときに、優先すべき順位を決めておき、その順位に従って業務を進めること。
優先順位は平常時に決めておくことが求められる。 - 「できること」でもその優先順位が低ければ、「やらない」という決断が必要。
- 経営資源が限られる中、平常時よりも多くの業務に対応することはできない。
- 最初から完璧を目指さない~着眼大局、着手小局
- まずはBCP策定をスタートすることが重要。
最初から完璧を目指すのではなく、まず着手すること。 - BCPの方針について議論する、役割分担を決める、緊急時の初動アクションを考える作業を行いつつ、社内体制を整えていくやり方も考えられる。
- PDCAサイクルを回しながら、足りない点や不十分な事項を補うことで完成を目指す。
- まずはBCP策定をスタートすることが重要。
(2)二段構えで考える
- BCP策定において、重要な点は自然災害が起こる前、あるいは感染症の流行が始まる前からBCPは機能させるものであること。
中断したときに可能な限り短い期間で復旧させることだけではなく、その前に、不測の事態が発生した場合でも、重要な事業を中断させないことも目指している。 - BCPの全体像は、次の二段構えで把握する。
- 重要な事業を中断させない
- さまざまな準備を行い、まずは重要な事業を中断させないことがポイント。
そのためには、従業員、建物・設備、ライフラインを守ることが求められる。
- さまざまな準備を行い、まずは重要な事業を中断させないことがポイント。
- 中断した事業を、可能な限り見近い期間で復旧させ、継続する。
- 事業が中断しないように準備を行っていても、大地震やスーパー台風などの災害に見舞われれば、自社の経営資源に大きな被害があり、事業が中断する。
その場合は、欠けた経営資源を補うことで、事業を速やかに復旧させ、継続していく。
- 事業が中断しないように準備を行っていても、大地震やスーパー台風などの災害に見舞われれば、自社の経営資源に大きな被害があり、事業が中断する。
- 重要な事業を中断させない
2.BCPと防災計画の関係
BCPと防災計画の違いについて
- 主な目的
- 防災計画
- 「身体・生命の安全確保」、「物的被害の軽減」と被害を抑えることを目的としている。
- BCP
- 防災計画の目的が達成されることを前提として、「優先的に継続・復旧すべき重要業務の継続または早期復旧」を目的としている。
- 防災計画
- 考慮すべき事象
- 防災計画
- 自社の拠点がある地域で発生することが想定される災害を考慮する。
自社拠点で発生が想定されていない災害に関する防災計画は不要。
例えば、山梨県や長野県のように海岸線から離れている場所に事業所がある場合は、津波災害について考慮する必要はない。
必要なのは、洪水や内水氾濫といった水害に関する防災計画。
- 自社の拠点がある地域で発生することが想定される災害を考慮する。
- BCP
- 自社拠点が津波と無縁の場所にある場合でも、自社の原材料・部品の調達先が津波リスクの高い地域に位置していることがあると、その企業が津波の被害を受け、自社への納品がストップするなどの影響が想定される場合は、BCPにおいて考慮することが必要。
- 防災計画
- 重要視される事項
- 防災計画
- 防災計画の主な目的は、「身体・生命の安全確保」と「物的被害の軽減」のため、重要視される事項は、死傷者と損害額を最小限にすること。
- BCP
- BCPの主な目的(優先的に継続・復旧すべき重要業務の継続または早期復旧)について、より具体的に「重要業務の目標復旧時間・目標復旧レベルを達成すること」
- 防災計画
- 活動、対策の検討範囲
- 防災計画
- 活動や対策の検討範囲は、自社の拠点ごと。
- 本社ビルと工場が別の場所にあれば、それぞれの拠点が抱えるリスクは異なる。
河川沿いに立地している工場は、河川の氾濫に備えた対策を立てるが、河川から離れている本社は、その対策は不要という考え方。
- BCP
- 自社の事業の中断となり得るあらゆる発生事象を考慮するので、活動、対策は、自社拠点全体を事業中断の観点から俯瞰して検討する。
- 自社拠点だけでなく、委託先、調達先、そして供給先が被災したときの対策もBCPで検討することが求められる。
- 防災計画
- 取組みの単位・主体
- 防災計画
- 主な目的(「身体・生命の安全確保」、「物的被害の軽減」)を主管する部門として、防災部門や総務部門が活動の主体となる。
- BCP
- 自然災害などの危機的事象に見舞われ中断してしまった自社の業務を、最終的には平常時と同じ水準まで復旧することが目的なので、特定部門だけの力では達成できない。
- 取組みの主体としては、経営者がトップとなり、重要業務の復旧にかかわる部門が横断的に参画することが必須。
- 防災計画
- 検討すべき戦略・対策の種類
- 防災計画
- 身体・生命の安全確保、物的被害の軽減のために、それぞれの拠点で被害を抑制する。
- 自社建物の耐震化、初期消火による二次被害の防止、負傷者の救出、救援が該当する。
- 被災後の早期復旧のため、建物・設備の復旧工事や復旧工事を支える防災備蓄も必要。
- BCP
- 自然災害などの危機的事象によって欠けたり、足りなくなった経営資源を補って、重要業務を継続、または早期復旧するためのもの。
そのため検討すべき戦略や対策は、不足する経営資源をどのように補うかという代替戦略が基本となる。
自社の他工場を代替拠点として生産するか、他社に委託することが考えられる。
自社拠点が一つなら防災面の取組みを強化し、被害を最小化することに注力する。
- 自然災害などの危機的事象によって欠けたり、足りなくなった経営資源を補って、重要業務を継続、または早期復旧するためのもの。
- 防災計画
3.今、なぜBCPが求められるのか
なぜ、BCPの策定や見直しが求められているのか。
(1)企業の社会的責任
- 企業が大きな自然災害や感染症に見舞われたとき、さまざまな経営資源を守り、その後、事業を再開し、自社の製品やサービスを提供し続けること、企業の社会的責任を果たすことが求められている。
(2)被害想定の見直し
- 以下のような被害想定に見直しなどを前提として、自社のBCPが想定外とならないように作成、あるいは見直しを行うことが必要。
- 地震の被害想定の見直し
東日本大震災後の経験を踏まえ、南海トラフ巨大地震、首都直下地震の被害想定が見直されている。
これまでの想定をはるかに超える巨大地震が起きる可能性を踏まえたものになっている。 - 水害ハザードマップの見直し
近年想定を超える浸水被害が発生しているため、水防法が改正され、これに伴い、ハザードマップの改訂がされている。
- 地震の被害想定の見直し
(3)国土強靭化の流れ
- 大規模自然災害に備えるには、事前防災・減災と迅速な復旧・復興に資する施策の総合的、計画的な実施が重要であり、国際競争力向上に資するという観点から、国土強靭化法が2013年12月11日にに施行した。
- 国土強靭化施策大綱では、特に配慮すべき事項として、「BCP/BCM等の施策の促進」が記載されている。
(4)複合災害が発生する可能性
- 新型コロナウイルス等の感染症が流行している中で自然災害が発生すると、そのまま複合災害となり、これを踏まえたBCPを準備する必要がある。
- 首都直下地震クラスの地震が勤務時間中に発生した場合は、従業員の帰宅を抑制し、自社ビルの安全確認をした上で、ビル内にとどめることなどが求められる。
この場合、企業は、周囲の状況が落ち着くまでの数日間、自社ビル内で生活することを前提としたBCPの整備が必要。 - 「3密」を避けるため、宿泊スペースに余裕を持たせたり、水、食料に加え、アルコール消毒薬も備蓄しておくことが必要。
(5)BCPを必要とするさまざまな要素
- BCPは予測できない事態が発生した場合に、どう対応するかがポイントになる。
- 社会の仕組みが近年大きく変化し、以下が危惧される。
- 生産拠点や物流拠点が、効率化の観点から大型化・集約化されており、一つの拠点が被災した際の影響が大きい。
- サプライチェーンの効率化、低コスト化がはかられる中で、下請構造がスリム化され、リスク分散がされないことがある。
- どのような事業においても、ITシステムが非常に大きな役割を担っているため、自然災害やサイバー攻撃などによって、システムが一つ停止するだけで、事業活動に支障が生じる。
- 未知の感染症のような、これまでの経験則では予測することがむずかしい危機的事象の発生があり得る。
- 温暖化などにより水災害が頻発し、その規模が巨大化しているなど、不測の事態がいつどこで発生しても不思議ではない状況。
- BCPの果たす役割は、これまで以上に重要になっている。
3.事業を止めない 防災がBCPの大前提
「事業を止めない 防災がBCPの大前提」では、主に以下のことが述べられています。
1.発生事業で異なる経営資源の守り方
- BCPの目的を達成するためには、その前提となる防災計画において、企業の経営資源を守ることが極めて重要。
防災計画とBCPをそれぞれ車の両輪と考えて、両者にバランスよく取り組むことが求められる。
2.地震から経営資源を守る
(1)建物の耐震性の確保
- 本社ビル、工場、倉庫などの建物の耐震性を確保することが重要
事業継続に必要となる経営資源の多くがそれらの建物の中にある。
(機材、原材料、商品、従業員等)
- 建築基準法の耐震基準
BCPの観点からは、次の点を押さえておく- 建物は建築時に耐震基準を満たしていても、その後老朽化する。
- 改正された新たな耐震基準は、さかのぼって適用されることはない。
新たな耐震基準を満たすことにはならない。 - 建物の耐震性は老朽化によって低下する。
- 改正された新たな耐震基準は、さかのぼって適用されることはない。
- 新耐震基準を満たしていても、事業継続への支障はありうる。
- 新耐震基準の目安は次のとおり
- 中規模の地震(震度5強程度)
ほとんど損傷を生じない - 極めてまれにしか発生しない大規模な地震(震度6強から震度7程度)
人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない
- 中規模の地震(震度5強程度)
- BCPの観点からは、被災後にその建物が使えない可能性を踏まえて検討することが求められる。
- 新耐震基準の目安は次のとおり
- 建物は建築時に耐震基準を満たしていても、その後老朽化する。
- 耐震診断及び耐震改修
- 自社建物が旧耐震基準に該当する場合は、新耐震基準の建物に比べると耐震性が低いことを認識し、耐震診断を行い、必要な耐震改修を実施することが重要。
- 新耐震基準の建物でも、老朽化で耐震性が低くなっていることが考えられるので、耐震診断、耐震改修を検討する。
(2)什器備品の転倒や落下から身を守る
- 地震で、キャビネットやオフィス家具を固定していないと転倒して、従業員が下敷きになる可能性がある。
複合機などは地震のときに動き、ぶっつかるとケガをすることが考えられる。
書棚、キャビネット上に置かれたものは落下する。 - 転倒や落下から従業員を守るためには、次のような転倒防止、落下防止対策を講じる必要がある。
- キャビネットや書棚
- 上部を壁に、あるいは下部を床に固定する。
- 重い書籍や荷物を下部に収納する。
- 上に物を置かない。
- 扉にはラッチ(留め金)を付ける。
- キャスターがついている大型機器類、書籍ワゴンはキャスターロックをする。
- 引き出しを使っていない時は施錠する。
- 机上のOA機器は粘着マットで固定する。
- 応接室の置物や花瓶は粘着マットで固定する。
- 壁に掛けてあるもの(時計、額など)を固定する。
- 天井に固定してあるプロジェクターなどは、固定金具を確認する。 など
- キャビネットや書棚
(3)火災から身を守る
- 突然の揺れへの対応
- 地震発生直後は、自分自身の安全確保を最優先する。
- 周囲の人にも、できる範囲で安全行動を促すことが必要。
- 大きな揺れがおさまったあとの対応
- 同僚や社内のお客様の安全確認をする。
- 負傷者が見つかった場合は、救急車の出動を要請し、到着まで時間がかかる場合や来ない場合は、社内で応急手当ができることが望まれる。
- 避難行動
- 建物からの避難
- 避難指示があった場合、危険が迫っていると判断される場合は、避難を開始する。
- 大きな揺れがおさまった後、余震に耐えられないと判断される場合は、避難する必要がある。
- 自社拠点が津波ハザードマップで津波浸水区域に含まれる場合は、避難が求められる。
- 「指定緊急避難場所」と「指定避難場所」
- 避難先として、「指定緊急避難場所」と「指定避難場所」を押さえておく。
- 指定緊急避難場所
- 火災が発生する、または発生する恐れがある場合、その危険から逃れるための場所。
- 自治体の長が指定する。
- 指定避難場所
- 災害の危険性があり、避難した住民などを災害の危険性がなくなるまで必要な間滞在させ、または災害により家に戻れなくなった住民等を一時滞在させる施設。
- 自治体の長が指定する。
- 指定緊急避難場所
- 「指定緊急避難場所」や「指定避難場所」は、いざという時にすぐに行けることが極めて重要。
- 避難先として、「指定緊急避難場所」と「指定避難場所」を押さえておく。
- 建物からの避難
3.水害から経営資源を守る
- 水害は地震と異なり、発見生時期や被害に見舞われる範囲をある程度予測できる。
(1)水害に見舞われる時期と地域を知る
- 洪水の発生時期は予測できる
- 台風や豪雨による洪水は、気象情報によって、その発生時期を予測することができる。
- 水害に対する脆弱性は、ハザードマップでわかる。
- 自社拠点の水害に対する脆弱性は、自治体が公表している「洪水ハザードマップ」や「高潮ハザードマップ」によって知ることができる。
(2)台風や豪雨が近づく前にするべきことがある
- 台風が接近する2~3日前あたりから、その被害を軽減する対策の強化が求められる。
- 台風が接近してから行うと危険なので、必ず風雨が強くなる前に終えておくことが必須。
(3)逃げる、そして逃げ遅れない
- 自分がいる場所、自社拠点や自宅が、水害発生時に浸水の可能性が高い場合は、気象情報を踏まえ、的確な避難行動をとることが極めて重要。
- 避難に関する情報を適時に入手する
- 気象庁が出す防災気象情報と市町村長が出す避難情報を適時に入手できる体制を平時から構築しておく。
- 逃げるタイミングを逃さない
- 自らの命は自ら守る意識を強く持ち、適切な避難行動をとることが求められる。
- 警戒レベルに注目し、決して逃げ遅れないことが重要。
- 水平避難と垂直避難
水害から命を守るためには、浸水しない場所に移動すること。- 水平避難
- 市町村が指定する避難所に避難することを原則とするが、状況によっては、その場所にこだわらず、「川から離れた、より安全な場所」に避難することも検討する。
- 垂直避難
- 屋外への非難行動がむずかしい場合は、自社拠点または隣接する頑丈な建物などの高層階に移動する。
- 水平避難
4.感染症から経営資源を守る
(1)感染症の被害は主として人への被害
- BCPの策定にあたり、認識しておくべきことは、感染症と地震などの自然災害では、被害の対象や期間、また被災発生後の被害抑制などの点で差があること。
- 押さえておくべきポイントはいかのとおり。
- 主として人への被害が対象
- 地震と異なり、感染症の被害は人への健康被害が主なもの。
従業員の健康を守ることが極めて重要。 - 労働契約法第5条の規定からも、職場の感染防止対策を的確に講じることが必須。
- 地震と異なり、感染症の被害は人への健康被害が主なもの。
- 従業員の確保が重要
- 感染症拡大時には、平常時に行っている業務に加えて、従業員の感染疑い事例への対応など、新たな業務が発生する。
- 従業員が感染した場合、出勤させることができなくなり、足りない従業員をどう補っていくかが重要なポイントとなる。
- 被害の量は感染防止対策に左右される
- 地震の場合は、発生すると、その後に被害量をコントロールすることはできないが、感染症の場合は、感染防止対策を的確に講じた企業と、そうでない企業では、その感染者数など被害量に差が出てくることが考えられる。
- 主として人への被害が対象
(2)感染症を適切に恐れる
- 未知の感染症に対していたずらに恐れるのではなく、国や地方自治体など信頼できる情報源から正しい情報を入手し、適切に恐れることが求められる。
(3)感染防止対策の徹底
- 新たな感染症が日本に入ってきた場合、治療法が確立されたり、ワクチンが行き渡るまでの間、我々にできることは職場での感染防止を徹底すること。
- 感染防止対策に必要な体制の構築
- 感染防止対策を推進する社内体制が必要。
稼働を制限したり、テレワークを導入する等、働き方を変えたり、衛生委員会等で社内の意見を反映できる体制も大切。
- 感染防止対策を推進する社内体制が必要。
- 感染経路の遮断
- 感染防止対策のポイントは、その感染症がどのように流行を拡大するか、感染経路を理解すること、そして感染経路を断つこと。
(4)職場でクラスターをつくらない
- 職場でクラスターを発生させないよう取り組むことで、大事な経営資源である従業員を守る。
- 基本的な感染症対策を徹底する
- 従業員一人ひとりが、基本的な対策を徹底することが極めて重要。
- 職場の出勤率を下げる
- できる範囲でテレワーク制度を導入し、出勤率を下げることを検討する。
- 必要に応じて就業規則を変更するなど、コンプライアンス違反にならないようにする。
- 職場での飛沫感染・接触感染リスクを下げる対策
- オフィスの場合
- 可能な範囲で、従業員同士の距離を保つ対策を講じる。
- テレワーク導入とあわせて検討を進める。
- 工場の場合
- テレワークの導入は現実的ではないので、基本的な感染対策を行う。
- 検温や体調確認も的確に行うことが極めて重要。
- 飲食業・小売業の場合
- 従業員と顧客の双方の観点から感染防止が必要。
- オフィスの場合
- 従業員の行動変容を促すことを支援する
- 感染防止対策は、従業員一人ひとりが自分自身の行動を変え、実践することが必須。
- 企業側も従業員が無理なく感染防止対策に取り組めるように環境整備を進める。
- 感染防止対策に必要な物品の配備
- トイレなど手を洗う場所の整備
- 休憩室や更衣室の整備
(5)平時からの準備
- 感染防止対策は、その多くが「やる」と決めても、すぐに実施できるとは限らない。
- テレワーク導入とハード・ソフト両面の準備
- ハード面では、パソコンなどの機器類の購入と従業員への配備、後工程の自宅でのネットワーク環境やセキュリティ環境の整備が該当する。
- ソフト面では、自宅で仕事をすることに関して、就業規則を改訂する。
また労働時間の管理や人事評価のルールを決めることが含まれる。 - テレワークを進めることができる業務と、テレワークに置き換えることができない業務がある。
- 感染防止対策に必要なものの調達は平常時に行う
- 感染防止対策に必要なものは、平常時に調達し、備蓄しておくことが求められる。
- 備蓄量を定期的に確認し、足りない分については適時に購入を進める。
5.従業員の自宅での対策と備蓄品
- 従業員を守るためには、自宅での対策もかかせない。
- 地震や水害は従業員が会社にいるときだけ起こるものではなく、またどこにいても感染症のリスクはある。
- 企業は従業員を守るため、次のような項目について、社内研修等で啓発することが求められる。
- 自宅の耐震性を確認し、必要に応じて耐震補強する。
- 家具を固定する。また食器棚や書棚の上に重いものを載せない。
- ハザードマップで自宅の水害により、浸水リスクを認識する。
- 指定緊急避難場所や指定避難場所の場所を確認し、家族で共有する。
- 防災備蓄を準備する(最低3日分、推奨1週間分)
- 災害時、お互いの安否を確認できるよう準備する(災害伝言ダイヤル等)
- 感染防止対策を家族で理解し、実践する。
- 理解だけで十分でなく、実践できることが必須。
4.策定の基本手順 BCPを策定する
「策定の基本手順 BCPを策定する」では、主に以下のことが述べられています。
1.BCPは代替戦略
- 不足する経営資源を見越した対策を立案する
- 危機的事象が発生した際、自社のどのような経営資源が不足するのか、その足りないところを見つけておき、それを代替する対策を考えてBCPに落とし込みことがポイント。
- 最終的には、起こった結果に対処することが重要
- BCPでは危機的事象が発生した場合、何が起こったかに焦点を当て、その結果に対処することに注力する。
危機的事象が発生したことにより欠けた経営資源を補い、事業を継続していけるようにする。 - 経営資源の一つである従業員を守るため、次の通り危機的事象ごとに考える。
- 自社ビルを耐震改修することで、地震から従業員を守る。
- 的確な行動をとり、水害から従業員を守る。
- 職場内の感染防止対策を徹底し、感染症から従業員を守る。
- 中断した事業を可能なかぎり短い時間で復旧させ、継続するためには、足りない資源を補うことが重要。
足りなくなった従業員をどのような形で代替するかという方針や手順を落とし込んだものがBCP。
- BCPでは危機的事象が発生した場合、何が起こったかに焦点を当て、その結果に対処することに注力する。
2.BCP策定の流れ
- BCPの目的・体制を明確にする
- BCP策定にあたっては、何を目的にBCPを策定するのか、そしてどのような体制で進めていくか(何を、どのように実行するのか)を明確にすることが重要。
- BCPを策定する目的を明確にし、それを全従業員で共有することから始める。
- 被害想定を確認する
- BCPの目的は、不測の事態が発生しても重要な事業を中断させない、また中断しても可能な限り短い時間で復旧させること。
そのためには、さまざまな危機的事象が起こったとき、世の中はどのような状況になるか、そして自社はどのような被害に見舞われるかを確認し、その上で準備を進めていく。- 世の中の被害状況を確認する
- 特定の危機的事象の結果として、自社の事業が中断するような状況になれば、BCPを発動させ、事業継続を目指すことになる。
- 自社の拠点が所在する地域で起こることが想定されている、例えば地震の被害想定を参考に、そのとき何が起こるのか、どのような状況に見舞われるのかを確認することになる。
- 自社の被害を確認する
- 重要なことは、自社の従業員、建物・設備、そしてライフラインがどのような被害に見舞われるかを確認すること。
この段階で想定される自社被害が、事業を継続するにあたって、どのような支障をもたらすのかを明らかにする。
その支障を克服するための代替策をBCPに落とし込むことができる。
- 重要なことは、自社の従業員、建物・設備、そしてライフラインがどのような被害に見舞われるかを確認すること。
- 世の中の被害状況を確認する
- BCPの目的は、不測の事態が発生しても重要な事業を中断させない、また中断しても可能な限り短い時間で復旧させること。
- 中核事業の選定
- 自社の「重要な事業」とは、最も利益に貢献している部門、最も売上の大きい部門、あるいは最も重要な得意先向けの商品を製造する部門を指す。
- 中核事業の選定にあたっては、通常、事業インパクト分析(BIA:Bussiness Impact Analysis)を行い、事業継続に必要な資源を特定するとともに、事業への影響、事業継続の優先順位、目標復旧時間などを決めていく。
- 重要業務の把握
- 事業インパクト分析を踏まえ、自社の中核事業を選定したら、当該事業を遂行するにあたって必要不可欠な重要事業を把握する。
- 中核事業を構成する全ての重要業務を漏れなく把握することが極めて大事。
- 必要な重要業務が一つでも欠けると中核事業は回らない。
本当に重要な事業を明らかにする。
- BCPに代替戦略
- 被災時に足りなくなった経営資源、あるいは欠けた経営資源をどのように補ったか、つまり代替するかを検討し、できる限り代替戦略をBCPに落とし込んでいく。
3.BCP策定の基本手順
(1)BCPの目的・体制を明確にする
- BCPの目的
- BCP策定にあたり、経営者は自社事業および自社を取り巻く経営環境を踏まえ、自社が果たすべき責任や役割をBCPに反映させることが重要。
- BCPの目的は次の通り。
- 従業員やその家族の命を守り、自社の建物・設備などの資産を守る。
- 自社の建物内にいる従業員の命を守ることが最優先。
- 従業員の家族がケガをした状況だと、従業員が被災後、職場に戻ることも難しくなるため、BCPの目的として「家族の命」に触れている企業も増えている。
- 小売業などは、「顧客の命」を含めることも考えられる。
- 災害に見舞われたのち、事業を中断させず、さらに継続するために、自社の建物・設備などの資産を守ることも求められる。
- 自社の事業を継続する
- 自社の事業の継続は、事前にさまざまな準備をすることによって、事業を中断させないこと、そして、中断した場合でも可能な限り短い期間で復旧させることを意味している。
- ステークホルダーとの連携や地域社会への貢献
- 前述の二つの目的が適切に対応できていることが前提になるが、BCPにおいては、ステークホルダーや地域社会との関係も重要になる。
- 自社だけでなく、関連会社、グループ会社の従業員の安全確保なども連携して取り組むことが求められている。
- 平常時に地域住民と連携して防災訓練を行う、また被災後に地域の復旧活動に協力することも考えられる。
- 従業員やその家族の命を守り、自社の建物・設備などの資産を守る。
- 社内推進体制の構築
- BCPを策定すること、そしてその後、それを維持・更新していくなどの活動を行うためには、社内にBCPを推進する体制が必要。
- BCPの推進体制の構築にあたっては、次の点に留意する。
- 経営者が推進体制のトップとなる
- BCP推進体制のトップは必ず経営者とする。速やかに重要な決断を行う必要があるから。
- 被災時どの部門に優先して従業員を投入するか、経営者が平常時に決めておくことが必須。
- 事業を中断させないために、建物の耐震工事、非常用自家発電設備の導入など、優先順位を含めて経営者の判断が求められる。
- 各部門からメンバーを集める
- 自社の被害を想定するにあたって、現場を熟知している従業員がいないと、その部分の対策を講じることができない。
- 特定部門に偏っていると、それ以外の部門の協力を得ることが難しくなる。
- 代行順位や権限委譲をを決めておく
- 必ず代行順位と権限委譲を決めておく。
構成員の誰かが不在となっても、誰がそのポジションを埋めるのか決めておけば、BCPの推進に支障はない。どのような場合に代行順位を発動するか基準を決めておくとよい。
- 必ず代行順位と権限委譲を決めておく。
- 経営者が推進体制のトップとなる
- 体制構築のポイント
- 推進体制は次の点がポイントとなる。
- 所管部門は、平常時の業務内容と合致する部門とする
- 被災時にやるべきこと、それぞれのチームを所管する部門は、平常時に行なっている業務内容と合致させ、違和感が生じないようにする。
- 役割分担に漏れがないようにする
- 特に重要なのは役割分担。
- 自社のBCP推進体制をつくる段階で、被災した際、何をやるべきか網羅的に、そして漏れなく洗い出すことが求められる。
- 被災時に役割分担に記載されていないことが発生すると、対応が遅れ、トラブルが広がってしまうことがある。
- 従業員が少ない場合は、小さいチームに分けない
- 小規模の企業の場合、あまり小さく分けてしまうと各チームが機能を果たせない可能性がある。
- 顧客や外部機関とのやりとりや災害復旧業務など現場対応するチームと、それ以外を担当する後方支援チームの二つに分けてもいい。
その場合でも、やるべき業務は漏らさずに選び出し、チームに適切に振ること。
- 所管部門は、平常時の業務内容と合致する部門とする
- 推進体制は次の点がポイントとなる。
- 体制に必要な物資
- 復旧作業やその後の事業継続のために必要な物資を準備・備蓄しておくことが肝要。
- 発動基準の明確化
- BCPを有効に機能させるための発動基準を定めておくことが求められる。
例えば、大地震に見舞われ、その時点で残された経営資源では、重要な業務を目標設定時間内に回復させることが難しいと判断した場合、BCPを発動させることが基本となる。 - BCP発動基準としては、次の二つの方法が考えられる。
- 自動発動
- 事業継続上の脅威が顕在化した場合、自動的に発動させる方法。
- 地震の場合の例:
本社所在地に震度5以上の揺れが観測された場合。 - 水害の場合の例:
本社が所在する地域に「警報レベル3」以上が発出した場合。
- 地震の場合の例:
- 事業継続上の脅威が顕在化した場合、自動的に発動させる方法。
- 発動権限を有する者による発動
- BCPにおいて定められた発動権限者が発動させる方法
- 自動発動基準に満たない場合でも、自社の事業が中断して、重要業務を目標復旧時間内に回復させることがむずかしい場合に発動させる。
- 地震が起きた場合の例:
震度5弱であっても、火災が発生し、自社建物と従業員に被害が生じた場合。
- BCPにおいて定められた発動権限者が発動させる方法
- 自動発動
- 発動させたBCPを停止させる「停止基準」も決めておくことが求められる。
- BCPを有効に機能させるための発動基準を定めておくことが求められる。
(2)被害想定を確認する
- 地震を想定して世の中がどうなるか理解する。
- BCPは地震や水害などの自然災害に限らず、感染症の蔓延やテロ等の事件や大事故など、企業の事業を中断させる可能性のあるすべての危機的事象を対象としている。
- 地震を想定し、世の中がどうなるか、さらに自社の被害を予測する。
- 地震は日本のあらゆる地域で、いつ起こっても不思議ではない。
これまでも大きな地震に見舞われてきたので、速やかな準備を進めることが求められている。 - 地震で最悪のシナリオを踏まえて準備する。
被害が起こり不足する経営資源をどのように補うか、また代替するか検討しておくことで、水害や感染症などの他の危機的事象に見舞われた場合でも対応可能となる。
- 地震は日本のあらゆる地域で、いつ起こっても不思議ではない。
- 首都直下型地震における被害想定
- 被害想定を踏まえたうえで、自社の被害を想定し、さらにBCPを策定しておけば、実際の被害時にも適切な軌道修正を行いつつ、より現実に即した対応を進めることが可能となる。
- BCPを策定するにあたっての視点
- 首都直下型地震における被害想定は、自社がBCPを策定するにあたっての重要な視点となる、次の点を理解する。
- 多数の建物が倒壊する
- 老朽化した建物や耐震性の低い木造家屋等が多数倒壊する。
- 急傾斜地の崩壊による家屋の損傷も発生する。
- 【BCPの視点】
企業は自社の建物、本社ビル、工場、倉庫などもその耐震性によって倒壊や半壊の恐れがあること、また従業員の自宅も同様のリスクがあることを認識しておくことが重要。
- 多くの人的被害がある
- 救命、救助が間に合わず、火災や余震により、建物被害が増大した場合、なくなる方が多数発生する。
- 【BCPの視点】
多数の人的被害があるということは、従業員の中にも負傷する人がいる。本人は無事でも家族が負傷するなどして、被災後、多くの従業員が職場に戻れないことも考えられる。
- 市街地火災の多発と延焼
- 地震発生直後から火災が同時多発することが想定される。
- 次の理由で大規模な延焼火災となることも考えられる。
- 地震の大きな揺れによる断水で消火栓が機能しない
- 深刻な交通渋滞で消防車両が火災現場にアクセスできない
- 火災が同時多発することで消防力が分散する など
- 【BCPの視点】
- 企業は、自社拠点からの出火を回避することが必須。消防設備を整備点検するとともに、初期消火体制を構築しておくことが求められる。
- 自社拠点から出火しなくても、延焼に巻き込まれる可能性があるので、指定緊急避難場所がどこにあるのか、またそこまでの避難経路はどの道なのかなど、情報を従業員全員で共有しておく。
- 電気・ガス・水道・ライフライン
- 震源断層域がどこかによって、供給停止する範囲や割合は異なるが、その供給には支障が生じる。
- 【BCPの視点】
BCPの策定にあたっては、すべてのライフラインは地震発生後、一旦その供給が停止すると想定して代替案を検討しておく。想定以上に早く、ライフラインが復旧することも考えられるが、それを前提とするとBCPが機能しない。
- 道路網
- 被害状況の把握、点検等に少なくとも1~2日程度を要し、その後も緊急交通路として緊急通行車両の通行が可能となる。
- 復旧に1カ月以上かかることも想定されている。
- 【BCPの視点】
事業継続の観点では、物流機能の停止を意味するので、原材料や製造に必要な物資が届かない、商品の発送ができないなどの状況が発生する。また備蓄量が足りず、追加で調達したいと考えてもすぐに入手することは困難となる。
- JR在来線及び私鉄
- 運転再開まで1ヶ月程度を要することも想定されている。
- 【BCPの視点】
- 多くの従業員の通勤手段である鉄道路線の運行再開までに長時間を要することを踏まえておかなければならない。
- 夜間・休日に地震が発生した場合は、従業員本人は無事であっても、通勤手段が回復するまで出社することが困難になる。
- 就業時間中に地震が発生した場合は、従業員は帰宅の手段が確保されるまでの間、企業内にとどまらざるをえないことが考えられる。
- 多数の建物が倒壊する
- 首都直下型地震における被害想定は、自社がBCPを策定するにあたっての重要な視点となる、次の点を理解する。
- 自社の被害想定
- 国、自治体の被害想定に基づき、自社の被害を想定する
- 国、自治体の被害想定に基づいて、自社の従業員、建物・設備、そしてライフラインへの影響を想定する。
- 自社の拠点の建物の被害想定は、自社拠点がある場所で想定されている震度を基準に考える。
- 自社の被害想定はできるだけ具体的に示す
- 自社の被害を想定するときは、被害をできるだけ具体的に想定する。
- 工場などの製造現場の被害想定は、現場責任者とともに行うことが必須。
機械設備の詳細や実際に現場でどのような業務が行われているかを知らなければ、想定される被害を的確に指摘することは難しい。
- 被害想定を数字で示すことが難しい事項もある
- 被害想定が具体的であれば、それに合った対策を講じることが可能。
但し、ライフラインの復旧は企業側ではコントロールできない。 - 従業員の参集割合は実際には確保できない場合があり、数字で具体的に示すことが困難な場合がある。
- 被害想定が具体的であれば、それに合った対策を講じることが可能。
- 国、自治体の被害想定に基づき、自社の被害を想定する
(3)中核事業の選定
- 事業インパクト分析(BIA)とは
- 大地震や水害、感染症などが発生して経営資源が欠ける等した場合、平常時に行っている業務を継続できない。自社の事業の中から、そのような危機的状況でも継続すべき中核事業を選定し、そこに被災後の限られた経営資源を投入することで、中核事業を継続していくことが可能となる。
- 中核事業の選定にあたっては、まずインパクト分析を行い、自社が行うそれぞれの事業が中断した際の影響がどの程度のものかを明らかにする。そしてその結果を踏まえて、優先的に経営資源を投入して早期に復旧・継続すべき業務を決める。
- 事業インパクト分析の手順
- 事業インパクト分析は、事業が中断した場合の影響を評価する手順で、次のような点を考慮する。
- 売上や利益はどうなるか(全社の売上・利益に占める割合)
- 顧客との関係はどうなるか(事業が再開できない場合、その顧客を維持できるか)
- 同業他社との競合はどうなるか(事業が再開できない場合、市場を失わないか)
- 社会の要請に対応できるか(事業に対する社会のニーズは高いか)
- あわせて法律や契約に違反することはないか、雇用は維持できるか、また資金繰りは大丈夫かなどの要素も勘案することが求められる。
これらの要素を勘案しつつ、復旧を優先させるべき中核事業はどれか、またその場合の最大許容停止時間及び目標復旧時間を見極める。 - 目標復旧時間は、最大許容停止時間より短く設定する。
- 事業インパクト分析は、事業が中断した場合の影響を評価する手順で、次のような点を考慮する。
(4)重要業務の把握(洗い出し)
- 事業インパクト分析の手順を経て選ばれた中核事業については、被災時にも経営資源を投入し、継続・早期復旧を目指すことになる。
しかし、中核事業は複数の重要業務によって構成されるので、それらを洗い出しておくことが必要。 - 重要業務を洗い出すことによって、業務そのものが円滑に進む体制を整えることができる。
- 重要業務が中断した際の影響を認識する。
- 重要業務の一つひとつは、中核事業を構成する大切な手順なので、ここで抜けや漏れがあると、実際の被災時に中核事業が継続できなくなる。
- 重要業務が中断したときの影響、つまりどのような状況に陥るかを認識しておく。
- 重要業務が中断した場合の代替手段を検討する。
- 重要業務が中断した場合は、何かの形で中核事業を継続するために、代替手段を検討しておくことが求められる。
- 事業インパクト分析は、「事業の中断による業務上や財務上の影響を確認するプロセスのこと」で、重要業務の把握は、まさに中核事業の遂行手順を明らかにし、それをどのように継続していくかを見極める作業なので、事業インパクト分析の一部をなすと言える。
- 重要業務が中断した際の影響を認識する。
(5)BCPに代替戦略を落とし込む
- BCPは自然災害などの危機的事象によって、欠けたり足りなくなった経営資源を補って、重要業務を継続、または早期復旧するためのもの。
- 検討すべき戦略や対策は、不足する経営資源をどのように補うかという代替戦略が基本であり、最終的には、それらの代替戦略をBCPに落とし込んでいく。
- 主要な経営資源の代替戦略について
- 建物(自社拠点)の代替
- 建物の被害が軽微である場合
- その建物で早期復旧を目指す。
- その後の余震に耐えられるか、自治体とも連携し、応急危険度判定によって最終的な判断を行うことが求められる。
- 建物の被害が甚大である場合
- 代替拠点を機能させる形が考えられる。
- 自社の離れた地域にある拠点を代替拠点として活用する。
あるいはOEMの形で他社に委託する。 - 代替拠点がない場合は、自社拠点の被害を最小化することに注力する。
- 建物の被害が軽微である場合
- 従業員の代替
次の2点を認識しておくことが重要。- 被災時の業務は、そのときに参集できた従業員で行うしかない。
- 足りなくなった要員の業務を補うことは、誰にでもできるとは限らない。
- サプライチェーンの代替
特定の原材料や資材が調達先の被災により入ってこない事態に備えて、調達先をリスト化するとともに、調達先の複数化も検討するとよい。- 在庫の積み増しをする
- 調達している原材料や部品の在庫を積み増しするという代替策が考えられる。
- 調達先を複数化する
- 在庫を積み増しせず、調達先を複数化することが考えられる。
- 一社調達の調達コストのメリットと、調達先が被災した場合のデメリットを踏まえて最終的には経営判断することになる。
- 在庫の積み増しをする
- 建物(自社拠点)の代替
5.実効性を高める BCPの見直しとレベルアップ
「実効性を高める BCPの見直しとレベルアップ」では、主に以下のことが述べられています。
1.災害の教訓に学ぶ
(1)BCPは一度策定して終わりではない
- 自社の事業内容や組織体制が変われば、それに合わせて改訂していくべきもの。
- 定期的に点検し、見直すことが必須。点検のタイミングは年1回以上と決めておく。
- これまでの教訓に基づいた見直しは、常に求められる。
(2)安否確認システムは、それが稼働しなければ意味がない
- 従業員一人ひとりの安否確認を手作業で行うことは非常に困難。
何らかの安否確認システムを導入し、自動集計することを検討する。 - 安否確認が円滑に稼働すること、全従業員がシステムに登録できるように定期的に訓練を行うことが大切。
(3)安否確認と要員確認は違う
- 安否確認にどこまで時間をかけるか
- 被災時に行う従業員の安否確認作業は非常に重要。
- 災害の状況次第では、安否確認を行えない状況も起こりうる
- 従業員(経営者含む)のおかれた状況によっては「安否確認が行えない状況が起こりうる」とお互いに認識する必要がある。
- 企業としての行動指針を共有する
- 安否確認システムに入力していない従業員を、そのままにしておいて良いということはない。
- 次のような企業としての行動指針を決めておき、それに従うことをルール化することがすすめられる。
- 災害に見舞われた際は、自分と家族の安全確保を最優先する。
- 自分の状況が落ち着き、通信環境が整った段階で速やかに安否確認入力を行う。
- 職場への参集を求められている場合は、通勤経路の安全が確認できた段階で参集する。 など
- 災害の状況次第では、安否確認を行えない状況も起こりうる
- 被災時に行う従業員の安否確認作業は非常に重要。
- 要員確認は、BCPの観点から重要
- 無事が確認されたすべての従業員が、職場に参集できると限らない。
- 「無回答」はさまざまな理由により入力できないものと判断し、様子を見る。
- どれくらいの時間で、何人程度が職場に戻るかを確認し、それらの要員を重要業務の優先順位に従って配置していく。
(4)従業員がケガをすることを想定する
- 必要な災害対策を講じていても、従業員がケガをする可能性は排除できない。
実際に負傷者が発生してから、あわてることがないように準備しておく必要がある。 - 心肺蘇生、AEDの取り扱いは、社内で負傷者に対応できる救護体制を整えておくことも検討する。
消防署で講習を受講する必要がある。
(5)企業内診療所の地震対策も徹底する
- 診療所の対策が手薄になったケースが見られるので、診療所の地震対策も抜け漏れがないことを確認する。
- 次のことを確認する。
- 医療機器・什器備品は、転倒防止対策を講じる。
- 薬品棚は、床面や壁に固定して、転倒対策を講じる。
- 散剤を入れる容器は落下防止に備え、プラスティック製容器の使用を優先する。
- ガラス棚は、ガラス飛散防止フィルムを貼る。
- モニター類は、落下防止対策として、粘着マットで固定する。
(6)複合災害への対策の観点から見直す
- 感染症が流行中で、自然災害が起こると必ず複合災害となる。
- 策定したBCPが複合災害にも対応できるものになっているかの観点から見直すことが重要。
- 災害発生時の役割分担が機能しないことがありうる
- 在宅勤務を導入することで、出社人数を抑制営ている場合、テレワーク導入以前に策定したBCPの緊急時の体制が機能しないことが考えられる。
- テレワークを導入している企業は、被災時も全員が揃わない前提で、そのとき職場にいる従業員で初動対応を乗り切る体制を組む。
- ノウハウを有する従業員が不在であることを想定しておく
- 必要なノウハウや情報を持っている従業員が不在であることも考えられる。
- 平常時から複数の従業員が行えるように、緊急時に必要なノウハウを共有しておく。
- 帰宅困難者対策は、感染症の流行を前提に見直す
- 大規模地震が発生した際、企業は従業員の帰宅を抑止し、安全に帰宅することが確認できるまで、社内に待機させることが求められる。
帰宅させると危険が伴い、また緊急活動に支障があるため。
- 大規模地震が発生した際、企業は従業員の帰宅を抑止し、安全に帰宅することが確認できるまで、社内に待機させることが求められる。
(7)最終的な帰宅判断は従業員本人が行う
- 企業は従業員の安全確保の観点からも、周囲の状況を入手し、それらの情報を従業員に対して丁寧に説明し、安全が確認できるまで帰宅を抑制する。
- それでも従業員が帰宅したいと申し出た場合、最終的な帰宅判断はあくまでも本人が行うものであるとルール化しておく。
2.社内教育
- すべての従業員からBCPの必要性を認識し、その内容を十分に理解していることが必須であり、そのためには継続的な取り組みが必要。
- BCPの内容と実践するのは一人ひとりの従業員なので、次のような内容を従業員に伝達して共有しておくことが必要。
- BCPの概念や必要性
- 想定される危機的事象などの基礎知識
- 自社のBCPの概要
- 初動のアクションプラン
- 従業員の自宅における防災 など
- 社内教育は定期的に行うことが重要。
BCPの改訂を行った時も実施が必要。
(1)初動のアクションプラン
- アクションプランは、被災直後の数時間、つまり混乱が続く中でも、従業員が指示を待つことなく自ら動けるようにするもの。
- 被災直後の数時間、従業員が本部から指示を待つだけでなく、BCPで定められた自らの役割を果たせることが重要。
- 従業員教育では、それぞれの従業員が、地震発生後数時間程度、例えば6時間程度以内に行うべき項目を「初動アクションプラン」として、周知徹底しておくことが求められる。
- 「初動アクションプラン」の中で対応すべき項目
- 自らの安全確保と周囲の負傷者の救出
- 地震の大きな揺れが続く間は、自らの安全を確保する。
- 負傷者がいれば救出の上、一次救命処置を行う。
- 来客者に対しても必要な支援を行う。
- 初期消火
- 職場で火災が発生している場合は、周囲に協力を仰ぎ、初期消火にあたり、手分けして消防署にも通報する。
- 初期消火で鎮火できない時は、逃げ遅れないようにする。
- 対策本部の立ち上げ
- 対策本部要員として指名されている従業員は、速やかに対策本部が設置される場所に参集する。
- この段階でも、自らの安全確保を最優先する。
- 職場の被害確認
- 社内の被害状況を確認し、対策本部に報告する。
- ライフラインの復旧
- ライフラインの復旧に向けて、応急修理や修理業者の手配を行う。
あわせて非常用自家発電設備の稼働など必要な対応を進める。
- ライフラインの復旧に向けて、応急修理や修理業者の手配を行う。
- 自らの安全確保と周囲の負傷者の救出
(2)従業員の自宅における防災
- 経営資源の中で従業員が最も重要。
建物や設備が無事で、ライフラインが復旧しても、中核事業を継続するにあたり、従業員が不在では、企業における事業継続は成り立たない。 - 企業は、自社の従業員が自宅でも身を守れるように、以下の項目について、社内教育を進めておくことが求められる。
- 地震の揺れから身を守る
職場でも自宅でも、地震の大きな揺れから身を守る術は同じ。- 住まいの耐震性
- 自宅の耐震診断を受け、必要な耐震補修工事を行うことを推奨する。
- 自分の住まいを選ぶ従業員に対して、建物の耐震性を啓発する。
- 家具や電気製品の転倒防止
- 自宅の家具や大型家電は、大地震が起きた時には必ず倒れるものと考え、準備を進める。
- 家具類の転倒・落下・移動対策として、次のようなことが考えられる。
- 納戸の据えや収納家具などを行い、できるだけ生活空間に家具を置かない。
- 寝室には背の高い家具を置かない。
- タンスや食器棚などは壁に固定する。
- 書棚は壁に固定するとともに、重い書籍は下の段に入れる。
- 家具は万一倒れても、出入り口(逃げ道)をふさがないようにおく。
- 机の上のパソコンは、粘着マットなどの上に置く。
- 窓ガラスには、飛散防止フィルムを貼る など
- 水・食料の備蓄
- 大きな地震が起きるとライフラインが停止するとともに、物流が乱れ、食料品その他の物資の入手が困難となる。
- 救難物資が届くまでの間、家族が過ごせるように、水・食料などの備蓄が求められる。
- 最低3日分、できれば1週間分以上、持ちこたえられる量を準備する。
- 家族との間の安否確認
- 地震が起こった際、家族全員が同じ場所にいるとは限らない。
家族間の安否確認方法は「災害用伝言ダイヤル(171)」などのサービスを利用することをあらかじめ決めておくとよい。
- 地震が起こった際、家族全員が同じ場所にいるとは限らない。
- 住まいの耐震性
- 水害から身を守る方法も社内教育に含める
水害は、自身と違い、台風など、その発生時期を予測できる場合がある。
事前対策を講じることなどを従業員に啓発することが求めれれる。- ハザードマップ
水害は、リスクが高い場所をハザードマップで確認することができるので、従業員には自宅のハザードマップを確認することを伝える。 - 情報の入手
台風が接近する中、風雨が強まる前に停電する場合があるので、避難情報が入手できるようにラジオ等の準備を推奨する。 - 避難行動
自宅の水害リスクが高くても、逃げ遅れなければ従業員の命は守れる。
自治体が発表する避難情報に注意して、必要に応じた速やかな避難を呼びかける。
- ハザードマップ
- 地震の揺れから身を守る
3.訓練と新たな課題への対応
- BCPがあっても、実際に運用できるかの検証が不十分では、的確に運用できない。
(1)訓練の目的確認と準備の留意点
- 目的の確認
- 訓練の目的をまとめると次のようになる。
- 災害時に企業が受ける被害のイメージを再確認する。
- 災害発生時はライフライン、通信、交通状況が悪化し、行政等からの支援が必ずしも要請通り得られるとは限らない。
- さまざまな被災シナリオを使って訓練することで、自社の見舞われる被害のイメージを再確認し、全従業員で共有できる。
- BCPを見直す
- 実際に訓練を実施すると手順通りに進まないことや、足りない資器材が出てくるなど、BCPの不備や改善点が明らかとなる。
- 実施した訓練の結果を踏まえてBCPを見直し、修正することが大切。
- BCPへの理解を深め、実践能力を高める
- BCPは策定して終わりではなく、それが的確に理解されてこと意味がある。
自社の従業員が計画の内容を理解しているとともに、実際の災害時に計画通り動けることが極めて重要。 - 訓練を繰り返すことによって、計画の内容が身につき、また実際に身体を動かすことで、その災害対応力を高めることができる。
- BCPは策定して終わりではなく、それが的確に理解されてこと意味がある。
- 災害時に企業が受ける被害のイメージを再確認する。
- 訓練の目的をまとめると次のようになる。
- 訓練の準備にあたっての留意点
- 訓練は、実際に災害に見舞われた際的確に行動できるように、BCPの実効性を高めるために行う。
- 課題や問題点が浮かび上がり、それがBCPの水準向上に結びつくように準備を進めることが大切。
- 訓練の準備にあたっては、次の点に留意する。
- 訓練の範囲とする項目
- 訓練の範囲は、訓練の規模や参加者を勘案して、特定の項目に絞る場合、また全体を通じて確認を行う場合などさまざま。
- 特定の項目の訓練は、本部の立ち上げやライフラインの被災状況の確認。
- 全体を通して行う場合は、被災直後の初動場面、一定時間経過後の事業継続の状況確認など、ある程度ポイントを絞った方がよい。
- 訓練を実施する日程
- 日常業務への影響も考慮して日程を決める。
- 平日勤務時間帯だけでなく、夜間や休日などの従業員の数が少なくなる時間帯を想定した訓練の実施も検討する。
- BCPの設定に対する柔軟な対応
- BCPはあくまでも計画なので、実際の災害時にはBCPで想定していないことが起こり得る。
- 訓練を進めるときには、BCPの設定とは異なるシナリオを参加者に示し、臨機応変な判断や対応が必要であることを理解してもらうことも必要。
- 近隣住民との連携
- 訓練は、消防署などを含め、行政機関と共同で行うことが重要だが、近隣住民との連携も必要。
- 特に夜間・休日など企業にいる従業員が少ない時間帯に災害が発生した場合、地域住民の協力が大きな役割を果たす。
- 平時から企業と地域が一体となった訓練を行うことも検討する。
- 訓練の範囲とする項目
(2)訓練の実施
- 訓練を実施するにあたり、どのような範囲を対象として行うとよいか、具体的な場面をあげて説明する。
- 企業規模や従業員数、また訓練を行う時間などの要素も考慮の上で訓練を進める。
- 本部立ち上げに関する訓練とそのポイント
- 本部は災害時に時間が切迫する中で、限られた経営資源を配分し、的確な指示を出すという重要な役割を担っている。
- 被災後速やかに本部を立ち上げ、一刻も早く初動対応を行うことが必須。
- 本部設置の場所
建物の被災状況によっては、予定していた場所に本部が設置できないことがある。
BCPで代替場所を決めていない場合は、被災時にさまざまな状況に応じて柔軟に設置する。 - 通信手段やアクセス
建物内の通信連絡網、外部の通信手段が確保できない場合、道路が寸断されて外部からの支援受け入れが難しい場合の対応も訓練する。 - 外部機関との連絡・情報共有
行政機関や近隣の企業など外部機関との連絡・情報共有に関する訓練では、当該機関と連携して同時に訓練を行う。
あるいは訓練時には、企業内でその役割を担う人の代役を立てるなどするとよい。
- 本部設置の場所
- 建物・設備・ライフライン等の安全確保に関する訓練とそのポイント
- 建物・設備・ライフライン等の状況によっては、一部の事業を中断せざるを得ない可能性もある。
- 事業を継続できる場合でも、その水準を判断する必要があるので、建物などの保全を担当する従業員でその状況を速やかに確認する。
- 従業員のシフト
建物・設備・ライフライン等の安全確保は、発災後の初動として非常に重要な手順だが、災害発生時に担当する従業員の数が足りない場合に備えて、他の担当者をシフトする。また、在宅の従業員を招集するという訓練を含めるとよい。 - 障害物撤去・非常口開放状況の確認
社内の建物や設備の点検を行う時に合わせて、屋内階段や非常階段などの避難経路上に障害物が置かれていないか確認し、見つけた場合は撤去し、非常口となる扉が安全に開くか確認する。 - エレベーター内の閉じ込め
エレベーターは「最寄りの階に停止する機能」が作動せず、閉じ込められた場合は次の対応をする。- すべての行先階ボタンを押し、それでも動かない場合は、エレベーター内のインターホンで保守会社に連絡して救出を待つ。
- インターホンが社内の防災センターにつながる場合は、それを受けた従業員がエレベーター事業者に通報する。
- ドアをこじ開けない、また天井からカゴの外にでようとしない。
エレベーター用備蓄ボックスの導入も検討する。
- ライフライン等の代替手段の点検
- 実際に災害時に使えないのでは意味がないので、訓練では次の点を確認する。
- 非常用自家発電設備の稼働(備蓄燃料の確認含む)
- 衛星携帯電話の使用方法
- 井戸水の使用を想定している場合は、その水質。
- 防災備蓄用品の数と使用期限 など
- ライフライン等の代替手段はすぐに使える状態にあることが重要だが、あわせて、被災時にすべての従業員が使えることが求められる。
- 実際に災害時に使えないのでは意味がないので、訓練では次の点を確認する。
- 従業員のシフト
- 従業員の安全確保・安否確認に関する訓練のポイント
- 安全確保
- 地震でも大きな揺れが起こったとき、行動の基本は周りに声をかけながら、自身の安全を確保すること。
- 訓練では、自分がいつもいる場所ではないところで強い揺れに見舞われた場合でも、安全な姿勢がとれるか確認し、あわせて来客に対しても安全な行動がとれるように声掛けすることも訓練する。
- 安否確認
- 大きな揺れがおさまった段階で、同僚の安否確認をする。
負傷した従業員は応急手当を行う。応急手当は本当にできるか訓練で実際にその手順を振り返る。
訓練では、建物以外にも同僚がいないか、実際に安否確認作業ができているかみておくこと。
- 大きな揺れがおさまった段階で、同僚の安否確認をする。
- 安否確認システム
- 安否確認システムは実際に使えてこそ意味がある。
- 訓練を行い、従業員が適時入力できているか確認する。
使用方法を事前に説明し、訓練の機会をとらえて、災害時自身の安否確認を入力することの重要性を従業員に周知する。 - 安否確認システムが的確に稼働するか、確認も訓練で行う。
- 実際に被災時に、安否確認システムの担当者が限らずいるとは限らないので、訓練では担当者以外の人が操作できるか確認しておく。
- 安全確保
(3)訓練終了後の取組み
- 訓練は実施して終わりではない。
実施した項目ごとにその結果を整理し、課題と考えられる事項への対応方法について、検討を進めることが重要。 - 検討した結果は、BCPに反映させて、企業全体で共有する。
最後に
日本は、地震や水害等ほぼ毎年のように、どこかの地域で自然災害に見舞われています。
また新型コロナウイルス感染症のように今後も、新たな感染症対策が必要となる可能性もあるかと思います。
さまざまなインシデントに対応するためにBCPの策定及びその訓練、BCPの見直しは事業継続にあたっては、重要であると思われます。
またBCPは一度策定して終わりではなく、訓練等を通じで継続的に見直しを進めていく必要もあります。
本書は、BCPの策定及び見直しに等について詳しく解説されています。

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