EIICHIです。
全ての事業主に、法定雇用率以上の割合で障がい者を雇用する義務があります。
この法定雇用率が段階的に引き上げられてきますので、「障がい者雇用」についてお話ししたいと思います。
障がい者の法定雇用率の段階的引き上げについて
2024年4月 | 2026年4月 | |
---|---|---|
民間企業の法定雇用率 | 2.5% | 2.7% |
対象となる事業主の範囲 | 40.0人以上 | 37.5人以上 |
★障がい者を雇用しなければならない対象事業主の義務★
◆毎年6月1日時点での障がい者雇用状況のハローワークへの報告
◆「障害者雇用推進者」の選任(努力義務)
除外率について
除外率の引き下げについて
2025年4月1日から除外率が10ポイント引き下げられ、下表のように変更になります。
(但し、現在の除外率が10%以下の業種については、除外率制度の対象外となります。)
なお、除外率は廃止の方向で段階的に引き下げ、縮小されることになっています。
※「除外率」とは
障がい者の就業が一般的に困難と認められる業種について適用される制度で、雇用労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数が控除され、障がい者の雇用義務が軽減されます。
除外率設定業種 | 除外率 |
---|---|
・非鉄金属第一次製錬 ・精製業 ・貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く) | 5% |
・建設業 ・鉄鋼業 ・道路貨物運送業 ・郵便業(信書便事業を含む) | 10% |
・港湾運送業 ・警備業 | 15% |
・鉄道業 ・医療業 ・高等教育機関 ・介護老人保健施設 ・介護医療院 | 20% |
・林業(狩猟業を除く) | 25% |
・金属鉱業 ・児童福祉事業 | 30% |
・特別支援学校(専ら視覚障害者に対する教育を行う学校を除く) | 35% |
・石炭 ・亜炭鉱業 | 40% |
・道路旅客運送業 ・小学校 | 45% |
・幼稚園 ・幼保連携型認定こども園 | 50% |
・船員等による船舶運航等の事業 | 70% |
障害者雇用の除外率の計算方法について
除外率対象職種における除外率は、常用労働者数から設定された割合の労働者数が引かれ、その数に法定雇用率をかけて障がい者の雇用義務数が計算されます
常用労働者数1,000人、除外率45%の業種の企業の場合
除外率がある場合
- 除外人数:1,000×0.45=450
- (1,000-450)×0.025=13.75
となり、雇用義務のある障がい者数は、13人となります。
※小数点以下は切り捨てます。
除外率がない場合
- 1,000×0.025=25
となり、雇用義務のある障がい者数は、25人となります。
除外率がない場合は、雇用義務者が12人増えることになります。
逆に言うと、除外率がある場合は、雇用義務者が12人軽減されます。
障害者雇用における障害者の算定方法の変更について
精神障害者の算定特例の延長
週所定労働時間が20時間以上30時間未満の「精神障害者」について、当分の間、雇用率上、雇入れか
らの期間等に関係なく、1人を1カウントとして算定できるようになっています。
一部の週所定労働時間20時間未満の方の雇用率への算定
週所定労働時間が10時間以上20時間未満の「精神障害者」、「重度身体障害者」及び「重度知的障害者」について、雇用率上、1人を0.5人とカウントして算定できるようになりました。
障害者雇用のための事業主への助成金の新設・拡充について
- 雇入れやその雇用継続に関する相談支援、加齢に伴う課題に対応する助成金が新設される予定です。
- 既存の障害者雇用関係の助成金が拡充される予定です。
障がい者の雇用が法定雇用率を「下回る」場合
「障害者雇用納付金」の納付について(常用労働者数100人超の事業主が対象)
常時雇用している障害者の数が雇用義務数を下回っている事業主(常用労働者100人超)は、毎年度給付金の申告を行い、不足する人数に応じて障害者雇用納付金を納めなければなりません。
なお、納付金を納めても障害者の雇用義務数が免除されるものではありません。
「障害者雇用納付金」の額
不足1人につき、月額50,000円納付
納付金の額=①-②×50,000円
①各月毎の算定基礎日における法定雇用障害者数の年度間合計数
②各月毎の算定基礎日における常用障害者数の年度間合計数
例:常用労働者500人の事業主の場合(除外率なしの場合)
・雇用義務障がい者数 :500人×2.5%=12人(小数点以下切り捨て)
・現在雇用している障がい者数: 5人
・不足している障がい者数 : 12人-5人=7人
★納付金の額(年間):7人(12-5)×50,000円×12月=4,200,000円
(計算は目安としての大まかな計算です。)
※詳細はこちら(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き)を参照ください。
障がい者の雇用が法定雇用率を「上回る」場合
「障害者雇用調整金」の支給について(常用労働者数100人超の事業主が対象)
常時雇用している障害者の数が雇用義務数を上回っている事業主(常用労働者100人超)に対し、申請に基づき支給されます。
「障害者雇用調整金」の額
超過1人につき、月額29,000円支給
(一定の要件に該当する場合は、月額23,000円支給)
調整金の額=②-①×50,000円
①各月毎の算定基礎日における法定雇用障害者数の年度間合計数
②各月毎の算定基礎日における常用障害者数の年度間合計数
例:常用労働者500人の事業主の場合(除外率なしの場合)
・雇用義務障がい者数 :500人×2.5%=12人(小数点以下切り捨て)
・現在雇用している障がい者数: 15人
・超過している障がい者数 : 15人-12人=3人
★調整金の額(年間):3人(15-12)×29,000円×12月=1,044,000円
(計算は目安としての大まかな計算です。)
※詳細はこちら(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き)を参照ください。
報奨金の支給について(常用労働者数100人以下の事業主が対象)
常時雇用している障害者の数が雇用義務数を上回っている事業主(常用労働者100人以下)に対し、申請に基づき支給されます。
常用雇用労働者の総数が100人以下となる月が8か月以上である事業主のうち、一定の数を超えて身体障害者、知的障害者又は精神障害者を雇用している事業主が対象となります。
「報奨金」の額
一定数を超えて雇用している障がい者1人につき、月額21,000円支給
(一定の要件に該当する場合には、月額16,000円支給)
報奨金の額=②-①×21,000円
①「各月毎の算定基礎日における常用雇用労働者数に4%を乗じて得た数
(1人未満端数切り捨て)の合計数」又は「72人」のいずれか多い数
②各月毎の算定基礎日における常用障害者数の年度間合計数
※詳細はこちら(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き)を参照ください。
参考資料
詳細は、厚生労働省HP及び独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構HPも参照ください。
EIICHIでした。
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