「リ・スキリング等教育訓練支援融資」の創設について

人事労務/社会保険

2025年10月1日に「リ・スキリング等教育訓練支援融資」が創設されました。

 「 リ・スキリング等教育訓練支援融資」は、スキルアップ等を目指す人を支援する融資制度で、生活面の不安無く訓練を受けることができるよう、「教育訓練費用」と「教育訓練期間中の生活費」が融資されます。
さらに、訓練を修了した人が、一定の要件を満たした場合、債務残高の返済が一部免除されます。

要件や申請手続きは以下の通りです。

融資対象者

融資を利用できる人の主な要件は以下の通りです。

  1. ハローワークに求職の申込みをしていること
  2. 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
  3. 労働の意思と能力があること
  4. 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
  5. 貸付を希望する理由が適当で、貸付金の返済意思があること
  6. 訓練開始時点において過去に3年以上就業した経験があること
  7. 訓練開始前にキャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成していること
  8. 以下の年齢要件を満たすこと
    • 融資申込時の年齢:18歳以上
    • 融資開始時の年齢:66歳未満
    • 最終返済時の年齢:76歳未満
  9. 貸付希望理由が、本制度の目的に照らして適当であること
  10. 融資実施機関である労働金庫(ろうきん)の事業エリア内に居住していること
  11. 融資を受けようとする費用に対して、給付または融資を受ける制度を利用していないこと
  12. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員でないこと

「6」項について
・雇用契約書等の書類によって証明する必要があります。
・昼間学生であった期間の就業経験は計上できません。
・証明書類によって確認できる場合、何年前の就業経験でも計上できます。

「11」項について
職業訓練受講給付金、教育訓練支援給付金、教育訓練実施機関や国等が実施する奨学金等

融資対象訓練

以下の「1」及び「2」の両方を満たす必要があります。

  1. 訓練期間が1ヶ月以上4年以内のもの
    (融資期間は、訓練期間のうち訓練開始から最大2年間)
  2. 以下のいずれかに当てはまるもの
    • 学校教育法に基づく大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校または各種学校が提供する教育訓練
    • 厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を実施している法人等が提供する教育訓練
    • 求職者支援訓練または公共職業訓練等

制度開始後にハローワークでの職業相談を受けて申し込んだものが融資の対象となります

融資内容

ハローワークで貸し付け要件の確認などの手続き後、別途、ハローワークが指定する金融機関(労働金庫)で貸し付けの手続きが必要です。

融資実施機関

労働金庫(ろうきん)

融資額

「教育訓練費用」と「教育訓練期間中の生活費(以下、「生活費」)」に対して融資を行われます。

引用元:厚生労働省作成:「リ・スキリング等教育訓練支援融資」のご案内

融資利率

年利率:2%(固定金利、信用保証率年0.5%を含む)

◆元金と利息の返済が遅れたら、遅延している元金に対し
 年14.5%の損害金(遅延利息)の支払い義務が発生します。
◆担保および保証人は不要
(ただし、労働金庫が指定する信用保証機関の利用が必要)です。
◆3か月毎にハローワークで職業相談を受ける必要があります。

貸付方法

  • 教育訓練費用:
    入学金、授業料等の教育訓練機関に支払いが必要な費用は、労働金庫より教育訓練機関に直接振り込まれます。
    その他は本人の口座(労働金庫の口座に限ります。労働金庫に口座がない場合は、手続きの際に口座を開設する必要があります。生活費においても同じ。)へ振り込まれます。
  • 生活費:
    3か月毎に、3か月分を上限に本人の口座に振り込まれます。

返済方法

  • 約定返済日は、貸付日の属する月の翌月末以降、毎月末日です。
  • 訓練終了月の1年後の末日までは元金据置期間として、利息のみの返済となります。
  • 基本的に、利息の支払いは訓練期間中に始まります。
  • 元金据置期間終了後から10年以内に元利均等払いにより返済が必要です(最終弁済時の年齢は76歳未満)。
  • 貸付金の返済は、本人の労働金庫の口座から自動引き落としとなります。

債務残高の一部返済免除

一部返済免除の条件

以下の条件1~3を全て満たすこと。

  1. 求職者支援訓練、公共職業訓練又は厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を修了したこと
  2. 訓練終了日の翌日から1年以内に雇用保険被保険者として就職し、1年以上継続的に雇用されたこと
  3. 訓練修了後の賃金が、訓練開始前の賃金と比較して、5%以上上昇したこと

貸付時点の年収が500万円以上の場合は、上記1~3を全て満たしても対象外となります

「1」の教育訓練について
「融資対象教育訓練」に記載の教育訓練と対象が異なります

返済免除額

引用元:厚生労働省作成:「リ・スキリング等教育訓練支援融資」のご案内

制度活用の流れ

「教育訓練開始前」、「教育訓練受講中」、「教育訓練終了後」のそれぞれで手続きが必要です。

訓練開始直前に手続きを始めた場合、教育訓練費用に対する融資が受けられないこともあります。

教育訓練開始前

  • 求職申込み、初回職業相談を行う
    •  ハローワークの受付で、「リ・スキリング等教育訓練支援融資を受けたい」と伝えます。
    • ハローワークで制度説明、特定求職者の確認がされ、キャリアコンサルティングの案内が行われます。
  • キャリアコンサルティングを受ける
    • キャリアコンサルティングの中で、受講する訓練が決定されるので、ジョブ・カードを作成します。
  • リ・スキリング等教育訓練支援融資の申請を行う
    • ハローワークにジョブ・カードを提示し、申請書類の作成と提出を行います。
    • ハローワークの審査が終了したら労働金庫(ろうきん)窓口での手続きを案内されます。
  • 労働金庫(ろうきん)の窓口で融資の手続きを行う
    • 来店日の前日までに来店予約を取る必要があります。
    • ハローワークから案内された労働金庫(ろうきん)の窓口で手続きを行います。

来店予約は、原則、教育訓練費用の振込期限の2週間以上前の日付での予約が必要です。
それ以降の来店の場合、教育訓練費用に対する融資を受けられないことがあります。

ハローワークでの審査を通過しても、労働金庫の審査が通過しない場合があります。

教育訓練受講中

  • 指定日にハローワークに行き、訓練状況の報告と融資申込を行う
    • ハローワークから案内された指定来所日に、訓練状況等の報告と融資申込を行います。
    • ハローワークでの審査が終了したら、融資が行われます。

教育訓練終了まで、3ヶ月毎に行う必要があります。

以下に該当する場合は速やかにハローワークにご連絡しなければなりません。
・訓練を中途退校した。
・融資を辞退する。
・急遽教育訓練費用の融資が必要になった。
・雇用保険被保険者として就職した。

教育訓訓練終了後

  • 返済免除申請を行う(但し、希望者のみ)
    • 返済免除の申請を行ってください。
    • ハローワークでの審査が終了したら、返済免除が行われます。

参考資料等

この記事は厚生労働省のホームページに記載の情報をもとに作成しました。
詳細は、こちら(厚生労働省HP:リ・スキリング等教育訓練支援融資)を参照ください。

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