今回紹介する本は、「知らないと大損をする!定年前後のお金の正解(板倉 京著 ダイヤモンド社)」です。
2024年の税制改正までの情報が書かれています。
本書は、以下の7部構成になっています。
- 「退職金」の手取りを最大化
- 「年金」で絶対損しない!
- 損にならない「働き方」
- 「独立」するなら徹底節税
- 「住まい」のお金を最小化
- 「病気」と「介護」に万全の備えを
- 「遺産相続」は最大の落とし穴
「退職金」の手取りを最大化
『「退職金」の手取りを最大化』では、主に以下のことが述べられています。
- 退職金の手取りを増やすコツは「税金を低く抑えること」。ポイントは「もらい方」と「非課税限度枠のフル活用」。
- 退職金を一括で受け取る場合、勤続35年の場合の非課税限度枠1,850万円。
社会保険料もかからない。 - 早期退職を選択するときは、最悪のシナリオを想定しつつ、今辞めるとどの程度のリスクがあるのかを見極めたうえで、慎重に検討すべき。
- 退職金は、勤続年数で非課税枠が変わる。
例えば勤続年数は「10年と1日」務めた人は「11年」とカウントされる。
(勤続年数は1日でも1年にカウントされる) - 退職金は一時金でもらうほうが税金が低く抑えられる。
一時金の場合は、「退職所得控除」という勤続年数に応じた非課税枠がある。 - 退職金を年金でもらうと老齢厚生年金などの公的年金収入とあわせて税金を計算することになる。
年金の税金は「公的年金等控除」という非課税枠があるが、一時金の「退職所得控除」と比べると額は少なめで、税金負担が大きくなる。国保や介護保険料の負担も大きくなる。 - 退職金は一時金でもらうのがオトク。
- 「確定拠出型年金」の退職金は、退職した翌年以降にもらうと30万円以上トクになる。
但し、一時金と確定拠出年金の合計額が退職所得控除よりも低い場合は、まとめてもらっても税金はかからないので、分けてもらう必要なない。 - 「退職所得の受給に関する申告書」を未提出なら確定申告をする。
- 退職翌年の確定申告でお金が戻ってくる人
- 「退職所得の受給に関する申告書」が未提出
- 年度途中(12月末以外)に退職し、年末調整していない。
- 副業で赤字がある。
- 医療費控除やふるさと納税がある。
- 退職金をその後どう管理運用するかも大切。
- 「退職金専用定期預金」に預けることもおすすめ。
- 「退職金専用定期」がりようできる期間は銀行によって3か月~3年と様々ある。
- 個人向け国債もおすすめ(キャンペーン時期を狙う)
おすすめは変動10年 - 信用金庫に口座を持つのもおすすめ
- 退職金を減らす可能性が高いと思われる投資
- 利回り3%以下の不動産投資
一番やってはいけないのは、利回りの悪い不動産を買うこと。 - 手数料の高いファンドラップ・投資信託
手数料が高ければ、儲かる可能性が低くなる。 - 毎月分配型の投資信託
元本を削って配当する場合がある。 - 理解できない保険や投資商品
- 利回り3%以下の不動産投資
「年金」で絶対損しない!
『「年金」で絶対損しない!』では、主に以下のことが述べられています。
- 知っておくべきことは、自分の場合「いつから」「いくら」「損をしない方法」でうけとれるか。
- 年金は申請しないともらえない。
- 年金は受給を60歳から受ける繰上げと75歳まで受給を先送りする繰り下げがある。
- 加給年金
- 「夫より年下」で「厚生年金の加入期間が20年以上ある年金をもらっていない」「年収850万円未満」の妻がいる場合、65歳からもらう夫の年金に「加給年金」が加算される。妻が65歳になるまで加算される。
- 夫側の条件
- 厚生年金の加入期間が20年以上
- 年金をもらい始めている(繰り下げしていない)
- 妻または子と間に生計維持関係がある。
- 年下夫を持つ妻も条件に当てはまれば加算される。
- 老齢基礎年金のみを繰り下げると、年金を繰り下げしながら加給年金がもらえる。
- 働いていた妻の場合「老齢厚生年金」は繰り下げず、「老齢基礎年金」のみ繰り下げがおすすめ。
- iDeCoの3つの節税メリット
- 掛け金全額が所得控除の対象
- iDeCoで買った投資信託などの利益や配当には税金がかからない
- 一括で受け取れば優遇されている退職所得課税となる
損にならない「働き方」
『損にならない「働き方」』では、主に以下のことが述べられています。
- 失業手当をもらわずに60歳以降再雇用、再就職した場合、給与が60歳時点の75%未満に下がった場合、「高年齢雇用継続給付金」が65歳になるまでもらえる。
その他雇用保険制度には多くの給付がある。 - 公共職業訓練を受けると、要件を満たせば給付期間が延長になり、手当が受けられる場合がある。
- 65歳の前々日までに退職すると「失業手当」が受けられる。
(退職が当該日後なら「高年齢求職者給付金」が支給される) - 64歳までは「老齢年金」「失業手当」のどちらかしかもらえない。
64歳のうちに失業手当の手続きをすると「老齢年金」がストップする。
65歳になってハローワークに手続きに行くのがベストな方法。 - 給与の一部を退職金に回してもらう方法もある。
社会保険料が安くなり、所得税、住民税も安くなる。
「高年齢雇用継続給付金」をより多く受給できる可能性もある。 - 給与と年金を調整されるのは厚生年金に加入している人だけなので、個人事業主として会社と業務委託契約を結ぶ方法もある。
「独立」するなら徹底節税
『「独立」するなら徹底節税』では、主に以下のことが述べられています。
- 定年退職後の企業は、自己資金をあまりかけない、リスクを抑えたスタイルが理想。
- 個人事業主は「事業所得」として確定申告をする。
- 事業所得で赤字が出ている時は税金を取り戻すチャンス。
「事業所得」「不動産所得」で赤字が出たら、給与所得と相殺できる。 - 青色申告には税金上のメリットがたくさんある。
- 最高65万円の特別控除(みなし経費)が認められる。
- いわば「領収書のいらない経費」として売上から引くことができる。
- 控除を受けるには、複式簿記で帳簿を付ける必要がある。
- 赤字を3年間繰り越しできる。
赤字を翌年以降3年間繰り越すことができるので、翌年以降の黒字と相殺できる。 - 経費計上しやすい
- 青色申告では30万円未満の備品は一括で経費にすることができる。
- 家族への給与
基本的には経費にならないが、青色申告なら税務署に届出をすれば全額経費にすることができる。
- 最高65万円の特別控除(みなし経費)が認められる。
- 開業前の企業の準備期間中の支出も経費にできる。
- 個人事業を始めるかどうか決まっていない段階でも、事業を始めた場合のために領収書を取っておく。
- 開業前の支出を「開業費」といい、「開業費」はとても使える節税の「お金」アイテム。
- 定年前、数年間かけて企業の準備をしていたとしたら、たとえその経費が開業よりも何年も前のものであっても、起業後の「開業費」とすることができる。
事業関連の支出は「固定資産」となるものも含め、すべて領収書を取っておく。 - 「開業費」は経費ではなく、「繰延資産」と呼ばれる資産。
- 開業費(繰延資産)は好きな時に好きなだけ経費にすることができる。
税金の世界では任意償却という。
好きな時に好きな分だけ経費にできるので、「開業当初は赤字で経費がいらないから、儲かって黒字になった時に経費にしよう」とか「今年は30万円黒字が出そうだから30万円分だけ経費に算入しよう」ということもできる。
赤字の年はなるべく経費をその年に入れず、後に回した方が有利。
- 儲からないうちは、働いている家族がいれば、その家族の扶養(社会保険上と税制上)に入れないか検討する。
- 起業スタートが個人事業でいい3つの理由
- 手軽に費用をかけずに始められる
- 経理処理が簡単
- 社会保険に加入しなくていい
- 「小規模企業共済制度」に入れば、年間25万円程度節税になる。
- 「小規模企業共済制度」は個人事業主や小規模な企業の役員のための退職金制度。
- 「小規模企業共済制度」の掛け金は、全額を所得控除として所得金額がら差し引いてくれる。
- デメリットは主に2つ
- 受け取るときに税金がかかる
但し、所得控除により節税効果の方が大きくなる場合がある。 - 途中解約や減額すると元本割れすることがある。
加入後、1年未満の解約は1円も戻ってこない、加入後20年未満の解約は元本割れする可能性がある。
- 受け取るときに税金がかかる
- 儲けがなく税金がかからない時には効果がないので、利益が出るとわかった時から始めることをすすめる。
- 補助金・助成金・給付金の制度は知っている人だけがトクをする。
- 「資金調達ナビ」「補助金ポータル」等で検索して情報収集する。
「住まい」のお金を最小化
『「住まい」のお金を最小化』では、主に以下のことが述べられています。
- 老後の支出を決める最大の要因は「どこでどう暮らすか?」。
家にかかる費用だけでなく、生活費にかかる物価も住む場所によって異なる。 - 住宅ローンを退職金で「一括返済」すべきか。
- ポイントは「金利」と「手元資金の額」
1.5%の利率で利息が100万円を超すようなら「一括返済」を検討。 - 一括返済せずに資金に余力が生まれたら、積立投資などの運用に回した方がいい。
- ポイントは「金利」と「手元資金の額」
- 住宅補助や助成費用が出る自治体もある。
- 「自宅」を売却した時には、「3,000万円までの儲けまで税金がかからない」おトクな特例がある。
- 「住まなくなってから3年後の12月31日までに売却」という条件はあるが、その間に家を人に貸して家賃をもらっていても特例が利用できる。
但し、家を売る時のもので、「土地」だけを売る時には使えない。
家と一緒に売れば土地部分にも使える。
- 「住まなくなってから3年後の12月31日までに売却」という条件はあるが、その間に家を人に貸して家賃をもらっていても特例が利用できる。
「病気」と「介護」に万全の備えを
『「病気」と「介護」に万全の備えを』では、主に以下のことが述べられています。
- 退職後、再就職しない場合の健康保険の3つの選択肢
- 勤めていた会社の健康保険を任意継続する(2年間)
- 国民健康保険に入る(保険料は計算サイトで確認できる)
- 働いている家族の扶養に入る。
- 高額療養費制度について
- 医療保険について
- 医療保険で最低限必要な3つの保障
- 入院給付金
差額ベッド代や入院中の雑費など、高額療養費制度の対象にならないものに使う。 - 手術給付金
日帰り手術でも給付金が受け取れる。 - 先進医療特約
月額保険料数百円程度で先進医療の治療費が受けられる。
- 入院給付金
- 60歳前後から入るのであれば、「終身」がおすすめ。
- 医療保険で最低限必要な3つの保障
- 医療費控除について
- 1年間に使った医療費で、合計10万円(もしくは所得の5%)を超えた場合、超えた部分が所得から控除される。
- 人間ドックで重大な病気が見つかってその治療を受けた場合は、人間ドック代も医療費控除の対象となる。
検査結果は「要治療・通院」「要再検査」「要精密検査」。
重大な病気は、がんや心筋梗塞、高血圧や糖尿病、メタボなど。 - 医療費控除は家族の中で一番たくさん税金を払っている人(所得税率が高い人)が家族の分もまとめて控除すべきだということを知っておくこと。生計が一の家族の医療費であればまとめて医療費控除できる。
- 医療費控除は医療を受けた人ではなく、医療費を負担した人が受けられる控除。
- 介護サービスの自己負担額は、「本人の所得だけでなく、世帯の所得で決まる場合」がある。
例:同じ家で暮らしていても世帯を分ければ、自己負担を減らせる場合がある。 - 高額医療・高額介護合算療養費制度について
- 1年間(8月1日〜7月31日)の医療費と介護費の両方を利用している世帯の自己負担を軽減するための制度。
決められた上限額より501円以上超えた場合に申請することで、超過分が支給される。
- 1年間(8月1日〜7月31日)の医療費と介護費の両方を利用している世帯の自己負担を軽減するための制度。
- 「保険見直し」のポイント
- どんな保険に入っているのか、保険証券で確認する
- 保険金の受取人
- 昔の生命保険の特約
今の医療保険の方が保険料が安く、保障内容も充実しているものが多い。
「遺産相続」は最大の落とし穴
『「遺産相続」は最大の落とし穴』では、主に以下のことが述べられています。
- よく利用されるのが「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例」
- どちらも数百万円〜数千万円段位で税金の圧縮効果が見込める。
- 特例を受けるためには、「申告期限内に遺産分割を終えて、相続税の申告書を提出する」ことが必要。
- 相続税の申告期限は、相続が起きた日の次の日から10ヶ月以内。
- 遺産の分け方が決まらなければ、銀行預金も下せない。
- 「生前贈与」及び制度改正について
- お金だけでなく株等の贈与もでき、株の暴落時は多くの株を贈与できるチャンス。
- 専業主婦の「妻の預金が夫の相続財産となることがある」。
問題となるのは、夫から渡された家計費などで使いきれず残っている分。 - 親の預金で眠っているお金で、生命保険に加入する。
加入の仕方は「終身保険の一括払い」
生命保険には、相続人1人あたり500万円の相続税の非課税枠があるので、生命保険で受け取ると節税できる。
但し、法定相続人に限られる。更に配偶者以外がベスト。 - 「家族信託」を結べば親の資産を子が運用できる。
家族信託とは家族に自分の資産の管理や運用を任せるもの。
例えば、父(委任者)の証券口座の運用管理を息子(受託者)に託して、その証券口座からの売買益や配当などの利益は父(受益者)が受けとるという信託契約を結べば、父が認知症になっても息子の判断で証券の売買ができる。
最後に
定年前後のお金のもらい方、税金の節約の仕方について非常にわかりやすく書かれています。
非常に勉強になりました。タイトルの通り知らないと本当に大損することが書かれていると思います。
定年前後のお金について、興味のある方は読んでみられると参考になることがあるかと思います。

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