2025年の「全国労働衛生週間」について

労働安全衛生

今年も10月1日から10月7日の間「全国安全週間」が実施されています。
なお、9月1日から9月30日は準備期間とされています。
今年のスローガンは、「ワーク・ライフ・バランスに意識を向けて ストレスチェックで健康職場」です。

事業場に求められている実施事項は以下の通りです。

  1. 事業場の実施事項
    1. 全国労働衛生週間中に実施する事項
    2. 準備期間中に実施する事項
      1. 重点事項
        1. 過重労働による健康障害防止のための総合対策に関する事項
        2. 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」等に基づくメンタルヘルス対策の推進に関する事項
        3. 小規模事業場における産業保健活動の充実に関する事項
        4. 「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に基づく治療と仕事の両立支援対策の推進に関する事項
        5. 女性の健康課題の理解促進に関する事項
        6. 労働者の作業行動に起因する労働災害(転倒・腰痛災害)防止対策
        7. 「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」に基づく熱中症予防対策の推進等に関する事項
        8. 「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」に基づく受動喫煙防止対策に関する事項
        9. 「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」に基づく労働者の作業環境、健康確保等の推進に関する事項
        10. 化学物質による健康障害防止対策に関する事項
        11. 石綿による健康障害防止対策に関する事項
        12. 東日本大震災等に関連する労働衛生対策の推進
      2. 労働衛生3管理の推進等
        1. 労働衛生管理体制の確立とリスクアセスメントを含む労働安全衛生マネジメントシステムの確立をはじめとした労働衛生管理活動の活性化に関する事項
        2. 作業環境管理の推進に関する事項
        3. 作業管理の推進に関する事項
        4. 「職場の健康診断実施強化月間」(9月1日~9月30日)を契機とした健康管理の推進に関する事項
        5. 労働衛生教育の推進に関する事項
        6. 「事業場における労働者の健康保持増進の指針」等に基づく心とからだの健康づくりの継続的かつ計画的な実施に関する事項
        7. 快適職場指針に基づく快適な職場環境の形成の推進に関する事項
        8. 「副業・兼業の促進に関するガイドライン」に基づく副業・兼業を行う労働者の健康確保対策の推進に関する事項
        9. 「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」に基づく個人事業者等が健に就業するための取組の推進に関する事項
      3. 作業の特性に応じた事項
        1. 粉じん障害防止対策の徹底に関する事項
        2. 電離放射線障害防止対策の徹底に関する事項
        3. 「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づく騒音障害防止対策の徹底に関する事項
        4. 「振動障害総合対策要綱」に基づく振動障害防止対策の徹底に関する事項
        5. 酸素欠乏症等の防止対策の推進に関する事項
        6. 建設業、食料品製造業等における一酸化炭素中毒防止のための換気等に関する事項
      4. 業務請負等他者に作業を行わせる場合の対策

事業場の実施事項

事業場に求めてられている実施事項は以下の通りです。

全国労働衛生週間中に実施する事項

  1. 事業者又は総括安全衛生管理者による職場巡視
  2. 労働衛生旗の掲揚及びスローガン等の掲示
  3. 労働衛生に関する優良職場、功績者等の表彰
  4. 有害物の漏えいによる事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害を想定した実地訓練等の実施
  5. 労働衛生に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の掲示、その他労働衛生の意識高揚のための行事等の実施

準備期間中に実施する事項

重点事項

過重労働による健康障害防止のための総合対策に関する事項
  1. 時間外・休日労働の削減、年次有給休暇の取得促進及び勤務間インターバル制度の導入など労働時間等の設定の改善による仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進
  2. 事業者による仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進や過重労働対策を積極的に推進する旨の表明
  3. 労働安全衛生法に基づく労働時間の状況の把握や長時間労働者に対する医の面接指導等の実施の徹底
  4. 健康診断の適切な実施、異常所見者の業務内容に関する医師への適切な情報提供、医師からの意見聴取及び事後措置の徹底
  5. 小規模事業場における地域産業保健センターの活用
「労働者の心の健康の保持増進のための指針」等に基づくメンタルヘルス対策の推進に関する事項
  1. 事業者によるメンタルヘルス対策の表明
  2. 衛生委員会等における調査審議を踏まえた「心の健康づくり計画」の策定、実施状況の評価及び改善
  3. 4つのメンタルヘルスケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)の推進
  4. 労働者が産業医や産業保健スタッフに直接相談できる仕組みなど、労働者が安心して健康相談を受けられる環境整備
  5. ストレスチェック制度の適切な実施(実施結果の労働基準監督署への報告を含む)の徹底、ストレスチェック結果の集団分析及びこれを活用した職場環境改善の取組
  6. 職場環境等の評価と改善等を通じたメンタルヘルス不調の予防から早期発見・早期対応、職場復帰における支援までの総合的な取組の実施
  7. 「自殺予防週間」(9月10日~9月16日)等をとらえた職場におけるメンタルヘルス対策への積極的な取組の実施
  8. 産業保健総合支援センターにおけるストレスチェックの実施等のメンタルヘルス対策に関する支援の活用
  9. 地域産業保健センター(高ストレス者の医師の面接指導等の産業保健サービス)の活用
小規模事業場における産業保健活動の充実に関する事項
  1. 産業医、産業保健師等の活用による産業保健活動の充実
  2. 一般健康診断結果に基づく事後措置の徹底
  3. ストレスチェックの実施、ストレスチェック結果の集団分析及びこれを活用した職場環境改善の取組の推進
  4. 小規模事業場における地域産業保健センターの活用
「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に基づく治療と仕事の両立支援対策の推進に関する事項
  1. 事業者による基本方針等の表明と労働者への周知
  2. 研修等による両立支援に関する意識啓発
  3. 相談窓口等の明確化、社内における両立支援体制の整備
  4. 個人情報保護のための適切な情報管理
  5. 両立支援に関する休暇・勤務制度等の整備
  6. 両立支援コーディネーターの活用
  7. 産業保健総合支援センターによる支援の活用
女性の健康課題の理解促進に関する事項
  1. 女性の健康課題に関する健康教育や相談体制の整備等の取組の実施
  2. 産業保健総合支援センターにおける事業者や人事労務担当者、産業保健スタッフ向けの女性の健康課題に関する専門的研修の受講
  3. 産業保健総合支援センターにおける女性の健康課題に関する相談窓口の活用
労働者の作業行動に起因する労働災害(転倒・腰痛災害)防止対策
  1. 高年齢労働者が安全に働き続けることができるよう、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリ―ガイドライン)を踏まえ事業場の実情に応じた施設、設備、装置等の改善及び体力の低下等の高年齢労働者の特性を考慮した、作業内容等の見直し
  2. 「職場における腰痛予防対策指針」に基づく腰痛の予防対策の推進
    • リスクアセスメント及びリスク低減対策の実施
    • 作業標準の策定及び腰痛予防に関する労働衛生教育(雇入れ時教育を含む。)の実施
    • 介護・看護作業における身体の負担軽減のための介護技術(ノーリフトケア)や介護機器等の導入の促進
    • 陸上貨物運送事業における自動化や省力化による人力への負担の軽減
「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」に基づく熱中症予防対策の推進等に関する事項
  1. 熱中症のおそれのある作業者の早期発見のための連絡体制の整備等を内容とする改正労働安全衛生規則に基づく措置義務の徹底
  2. 暑さ指数(WBGT)の把握とその値に応じた熱中症予防対策の実施
  3. 作業を管理する者及び労働者に対する労働衛生教育の実施
  4. 糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者に対する医師等の意見を踏まえた配慮の実施
  5. 本年夏季に実施した各熱中症予防対策の取組に関する確認
「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」に基づく受動喫煙防止対策に関する事項
  1. 各事業場における現状把握と、それを踏まえ決定する実情に応じた適切な受動喫煙防止対策の実施
  2. 受動喫煙の健康への影響に関する理解を図るための教育啓発の実施
  3. 支援制度(専門家による技術的な相談支援、喫煙室の設置等に係る費用の助成)の活用
「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」に基づく労働者の作業環境、健康確保等の推進に関する事項
  1. 「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト【労働者用】」を活用した作業環境の確保及び改善
  2. 「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト【事業者用】」を活用した労働者の心身の健康確保
化学物質による健康障害防止対策に関する事項
  1. 製造者・流通業者が化学物質を含む製剤等を出荷する際のラベル表示・安全データシート(SDS)交付等の徹底及びユーザーが購入した際のラベル表示・SDS交付等の状況の確認
  2. SDS 等により把握した危険有害性に基づくリスクアセスメントの実施とその結果に基づくばく露濃度の低減や適切な保護具の使用等のリスク低減対策の実施(業種別・作業別の化学物質管理マニュアル(建設業、ビルメンテナンス業、食料品製造業など)に基づく対策等の実施を含む)
  3. ラベル・SDSの内容やリスクアセスメントの結果に関する労働者に対する教育の実施
  4. 皮膚接触や眼への飛散による薬傷等や皮膚からの吸収等を防ぐための適切な保護具や汚染時の洗浄を含む化学物質の取扱上の注意事項の確認
  5. 中小規模事業場を中心とした特定化学物質障害予防規則等の特別規則の遵守の徹底
  6. 危険有害性等が判明していない化学物質を安易に用いないこと、また、危険有害性等が不明であることは当該化学物質が安全又は無害であることを意味するものではないことを踏まえた取扱物質の選定、ばく露低減措置及び労働者に対する教育の推進
  7. リスクアセスメント対象物健康診断、特殊健康診断等による健康管理の徹底
  8. 塗料等の剥離作業における剥離剤による健康障害防止対策の徹底
石綿による健康障害防止対策に関する事項
  1. 建築物等の解体・改修工事における石綿ばく露防止対策の徹底及びこれらの対策の実施に対する発注者による配慮の推進
    • 有資格者による事前調査の実施、事前調査結果の掲示及び備え付けの徹底
    • 労働基準監督署に対する届出の徹底
    • 隔離・湿潤化の徹底
    • 呼吸用保護具等の使用の徹底及び適正な使用の推進
    • 作業後等の労働者の洗身や工具等の付着物の除去の徹底
    • 石綿作業主任者の選任及び職務遂行の徹底
    • 健康診断の実施の徹底及び離職後の健康管理の推進
    • 作業実施状況の写真等による記録の徹底
  2. 吹付け石綿等の損傷、劣化等により、労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における吹付け石綿、石綿含有保温材等の除去、封じ込め等の徹底(貸与建築物等の場合において貸与者等に措置の実施を確認し、又は求めることを含む。)
    • 労働者が就業する建築物における石綿含有建材の使用状況の把握
    • 封じ込め、囲い込みがなされていない吹付け材、保温材等の石綿使用の有無の調査
    • 建材の損傷、劣化等の状況に関する必要な頻度の点検の実施
    • 建材の損傷、劣化等の状況を踏まえた必要な除去等の実施
    • 設備の点検、補修等の作業を外注する場合における、吹付け石綿や石綿含有保温材等の有無及びその損傷、劣化等の状況に関する当該設備業者等への情報提供の実施
  3. 石綿にばく露するおそれがある建築物等において労働者を設備の点検、補修等の作業等に臨時で就業させる場合の労働者の石綿ばく露防止
    • 労働者を臨時に就業させる建築物等における吹付け石綿や石綿含有保温材等の有無及びその損傷、劣化等の状況に関する当該業務の発注者からの情報収集の実施
    • 労働者が石綿にばく露するおそれがある場合(不明な場合を含む。)における労働者の呼吸用保護具等の使用の徹底
  4. 禁止前から使用している石綿含有部品の交換・廃棄等を行う作業における労働者の石綿ばく露防止対策の徹底
    • 工業製品等における石綿含有製品等の把握
    • 石綿含有部品の交換・廃棄等を行う作業における呼吸用保護具等の使用等
東日本大震災等に関連する労働衛生対策の推進
  1. 東京電力福島第一原子力発電所における作業や除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策の徹底に関する事項
  2. 「原子力施設における放射線業務及び緊急作業に係る安全衛生管理対策の強化について」(平成24年8月10日付け基発0810第1号)に基づく東京電力福島第一原子力発電所における事故の教訓を踏まえた対応の徹底に関する事項

労働衛生3管理の推進等

労働衛生管理体制の確立とリスクアセスメントを含む労働安全衛生マネジメントシステムの確立をはじめとした労働衛生管理活動の活性化に関する事項
  1. 労働衛生管理活動に関する計画の作成及びその実施、評価、改善
  2. 総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者、衛生推進者等の労働衛生管理体制の整備・充実(総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者の選任及びその労働基準監督署への報告の徹底を含む)とその職務の明確化及び連携の強化
  3. 衛生委員会の毎月1回以上の開催と必要な事項の調査審議
  4. 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく必要な措置の推進
  5. 現場管理者の職務権限の確立
  6. 労働衛生管理に関する規程の点検、整備、充実
作業環境管理の推進に関する事項
  1. 有害物等を取り扱う事業場における作業環境測定の実施とその結果の周知及びその結果に基づく作業環境の改善
  2. 局所排気装置等の適正な設置、稼働、検査及び点検の実施の徹底
  3. 事務所や作業場における清潔保持
  4. 換気、採光、照度、便所等の状態の点検及び改善
作業管理の推進に関する事項
  1. 自動化、省力化等による作業負担の軽減の推進
  2. 作業管理のための各種作業指針の周知徹底
  3. 適切、有効な保護具等の選択、使用及び保守管理の徹底
「職場の健康診断実施強化月間」(9月1日~9月30日)を契機とした健康管理の推進に関する事項
  1. 健康診断の適切な実施、異常所見者の業務内容に関する医師への適切な情報提供、医師からの意見聴取及び事後措置の徹底
  2. 一般健康診断結果に基づく必要な労働者に対する医師又は保健師による保健指導の実施
  3. 高齢者の医療の確保に関する法律に基づく医療保険者が行う特定健診・保健指導との連携
  4. 健康保険法に基づく医療保険者が行う保健事業との連携
  5. 健康診断以外の産業保健に関する取組の周知・啓発
労働衛生教育の推進に関する事項
  1. 雇入れ時教育、危険有害業務従事者に対する特別教育等の徹底
  2. 衛生管理者、作業主任者等労働衛生管理体制の中核となる者に対する能力向上教育の実施
「事業場における労働者の健康保持増進の指針」等に基づく心とからだの健康づくりの継続的かつ計画的な実施に関する事項
快適職場指針に基づく快適な職場環境の形成の推進に関する事項
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」に基づく副業・兼業を行う労働者の健康確保対策の推進に関する事項
「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」に基づく個人事業者等が健に就業するための取組の推進に関する事項
  1. 健康管理に関する意識の向上等個人事業者等が自身で実施する事項の推進
  2. 個人事業者等への安全衛生教育や健康診断に関する情報の提供等注文者等が実施する事項の推進

作業の特性に応じた事項

粉じん障害防止対策の徹底に関する事項
  1. 「粉じん障害防止総合対策推進強化月間」(9月1日~9月30日)を契機とした「第10次粉じん障害防止総合対策」に基づく取組の推進
    • 呼吸用保護具の適正な選択及び使用の徹底
    • ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策
    • じん肺健康診断の着実な実施
    • 離職後の健康管理の推進
    • その他地域の実情に即した事項
  2. 改正粉じん障害防止規則に基づく取組の推進
電離放射線障害防止対策の徹底に関する事項
「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づく騒音障害防止対策の徹底に関する事項
  1. 騒音健康診断の実施
  2. 聴覚保護具の使用
  3. 騒音障害防止対策の管理者の選任
「振動障害総合対策要綱」に基づく振動障害防止対策の徹底に関する事項
酸素欠乏症等の防止対策の推進に関する事項
  1. 酸素欠乏危険場所における作業前の酸素及び硫化水素濃度の測定の徹底
  2. 換気の実施、空気呼吸器等の使用等の徹底
建設業、食料品製造業等における一酸化炭素中毒防止のための換気等に関する事項

業務請負等他者に作業を行わせる場合の対策

  1. 請負人等が労働者と同じ場所で就業する場合における保護具の着用の周知や立入りが禁止された場所への立入禁止の遵守義務等の安全衛生の確保に必要な措置の実施
  2. 安全衛生経費の確保等、請負人等が安全で衛生的な作業を遂行するための配慮
  3. その他請負人等が安全衛生に係る事項を円滑に実施するための配慮

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