EIICHIです。
今回は、昨今の採用難の為又は働き改革の為、休日を増やそうと考えておられる会社もあるかと思います。しかし同時に労働時間が減って売上が落ちてしまうのではなかと危惧している方もおられるのではないかと思います。
現在私が勤務している会社は「1年単位の変形労働時間制」を採用し、年間休日を増やすとともに、1日の所定労働時間を8時間から8時間15分とし、年間総労働時間の減少もある程度抑えることにしましたので、ご紹介したいと思います。
労働時間はそのままに年間休日だけ増やせると一番いいのですが、この度は年間休日を10日増やして115日にしましたので、労働時間が減ることにより売上が減ってしまうことを危惧して、初年度は様子見も含めて1日の所定労働時間を増やすことにしました。
「1年単位の変形労働時間制」について
最初に「1年単位の労働時間制」について、お話してみたいと思います。
1ヶ月を越え1年以内の一定の期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間以下の範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間の1日8時間又は1週40時間を超え、一定の限度で労働させることができる制度です。
そして1日の労働時間の限度は10時間、1週間の労働時間の限度は52時間です。
なお、1年単位の変形労働時間制を採用するためには、労使協定において以下の事項を定めて、管轄の労働基準監督署に届け出ることが必要です。
- 対象期間を1か月を超え1年以内とし、
- 対象期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内で、
- 1日10時間、1週52時間以内(対象期間が3か月を超える場合、1週48時間を超える週の数について制限あり)、連続して労働させる日数の限度が6日(特定期間については1週に1日の休日が確保できる日数で連続12日まで)、
- 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間を特定するとともに、
- 労使協定の有効期間を定める
なお、労働者が常時10名以上である事業場は、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長への届出が義務付けられています。変更した場合も所轄労働基準監督署長への届け出が必要です。
1年単位の変形労働時間制を採用する場合は、就業規則にもその旨記載をし、変更して届出をする必要があります。
当社の「1年単位の変形労働時間制」について
上記の通り、1年単位の変形労働時間制を採用すると1日の労働時間は10時間まで認められているので、当社では1日の所定労働時間を15分伸ばして8時間15分としました。
年間休日は10日増やして115日としました。
(1週間当たりの労働時間の計算方法)
(1) 365日-115日=250日(年間労働日)
(2) 250日×8時間15分=2,062.5時間(年間労働時間)
(3) 2,062.5時間×7日/365日≒39.55時間(1週間当たりの労働時間)<40時間
1週間当たりの労働時間は39.55時間(39時間33分)ですから、40時間をクリアしています。
ちなみに休日及び労働時間をを増やす前は、年間休日105日、1日の所定労働時間は8時間でしたので、上記同様に計算すると
・年間総労働時間:2,080時間
・1週間当たりの労働時間は、39.89時間(39時間53分)でした。
(この場合も週40時間はクリアしていました。)
年間総労働時間の減少時間は、2,080-2062.5=17.5時間です。
年間休日を10日増やしましたが、労働時間は17.5時間の減少にとどまりました。日数にするとおよそ2日の減少にとどまりました。
最後に
以上のように、1年単位の変形労働時間制をうまく活用することにより、年間休日を増やしても、年間総労働時間の減少を抑えることができます。
従業員の立場からするとあまり勧めはできませんが、更に1日の所定労働時間を増やすと年間総労働時間を減らすことなく、年間休日を増やすこともできます。
ただし、従業員の立場からすると、労働時間はそのままに年間休日だけ増えたほうがいいに決まっていますよね。
労働生産性をあげて、労働時間を増やすことなく、年間休日を増やして、売上も上がることが一番いいと思います。
こういう方法もあるんだなと、あくまでも参考までに。
コメント