今回紹介する本は、「はじめての企業防災BCP入門(インフォコム株式会社危機管理研究会 著 WAVE出版)」です。
本書は、以下の6部構成になっています。
- 会社を守るってどういうこと?ー企業防災の基礎を理解する
- BCPって何?ー事業継続計画を本質的に理解する
- 災害が起きた!その時どうする?ー緊急時の対応を理解する
- 企業防災 何からすべきか?ー防災の準備と体制構築を理解する
- 企業防災力を上げる!ー防災力向上のための実践方法を習得する
- 企業防災の未来ー持続的な防災体制と新たな価値創造
- BCP:事業継続計画(Bussiness Continuity Plan)
- 災害が起こった際に少なくとも重要な業務を止めない、企業防災とBCPについて書かれている。
- 企業防災に関しては、防災と事業継続の2つの側面から考えていく必要がある。
- 災害が起きた時に被害を評価し、応急対応を行い、その後復旧・復興と進むが、このようなコトが起きてから対処療法的に行う対応を「クライシスマネジメント」と呼び、一般的な防災にあたる。
- 被害防止や被害軽減、警報の発信といった事前の対策は「リスクマネジメント」と呼ばれている。
- 災害に対して事前の対策を想定するのが「リスクマネジメント」であり、その考え方に基づいて事業継続を計画したものがBCP。
1.会社を守るってどういうこと?ー企業防災の基礎を理解する
「会社を守るってどういうこと?」では、主に以下のことが述べられています。
1−1 災害から何を守るの?
- 企業の本質と目的を理解する。
企業は雇用もしており、企業の存続は社会にとって重要な意味を持つ。 - 企業の重要な役割
- 必要な商品やサービスを提供する
私たちの生活に必要な物やサービス、ライフラインまで、ほぼ全てにおいて企業活動により提供されている。 - 雇用を生み出す
従業員とその家族の生活を支えている。 - 納税により社会に貢献する。
利益に応じて税金を納め、社会の発展に貢献する。
- 必要な商品やサービスを提供する
- 企業が災害で被害を受けると、地域の人々の生活に影響を与えるだけでなく、取引先や地域社会にも大きな影響を及ぼす。
そのため、企業は自らを災害がら守る必要がある。 - 企業防災とは、様々な脅威から企業を守り、企業の目的達成を可能にするための取り組み。
- 企業防災の第1の目的は、従業員の安全確保
- 企業にとって、最も重要な経営資源は「人」。災害対策基本法や労働基準法、労働安全衛生法でも労働者の安全確保は、企業の義務と定められている。
安全配慮義務は、平常時でも災害時でも変わることなく求められる企業の重要な責務。
- 企業にとって、最も重要な経営資源は「人」。災害対策基本法や労働基準法、労働安全衛生法でも労働者の安全確保は、企業の義務と定められている。
- 企業防災の第2の目的は、企業の存続
- 従業員の生活を守ることに直結する。企業が存続できなければ、従業員は収入を失い、生活の維持が困難となる。
- 企業防災を適切に行わなければ、以下のような深刻な問題が発生する。
- 従業員の安全が脅かされる。
- 復旧が遅れ、約束した商品やサービスをお客様に提供できなくなる。
- 経済活動の迅速な再開が困難となる。
- 従業員の生活を守ることができなくなる。
- 企業の社会的責任を果たすことができなくなる。
※その結果、最悪の場合、企業が倒産する倒産に追い込まれる可能性があることを考慮に入れておく必要がある。
1−2 企業を脅かす災害
- 企業を脅かす災害は大きく分けて3つに分類できる。
- 自然災害:地震、台風、豪雨、豪雪
- 人為災害:火災・爆発、情報漏洩、サイバー攻撃
- 特殊災害:原子力発電所事故、化学物質の漏洩、テロ行為
- 最近の災害の特徴的傾向
- 予測困難な災害の増加
線状降水帯による局地的豪雨や台風の予想外のルート通過 - 災害の大規模化
災害が広範囲かつ深刻化する傾向にあり、複数の県にまたがる広域災害では自治体や企業間で連携が求められるが対応が遅れる。 - 二次災害の発生
- 地震後に発生する津波による沿岸部への被害
- 豪雨後の土砂災害による家屋のインフラの崩壊
- 災害後の風評被害による企業や地域の評判への影響
- 予測困難な災害の増加
1−3 企業防災への新たな視点
- 企業防災において、重要なのは従業員の生活保障と精神的ケア。
- 事業継続計画(BCP)における働き方改革への対応も企業防災の重要課題。
- オンライン会議の活用は費用に有効。平時から安定した通信環境の確保が不可欠。
- 災害時備品等の日常的活用
- 災害時の備えとして、フェーズフリーという考え方もある。
フェーズフリーとは、平常時と非常時の境界をなくすという考え方。
平常時に備蓄品を日常的に使用し、新しいものを補充する、ローリングストックとして備蓄品を活用する。
- 災害時の備えとして、フェーズフリーという考え方もある。
- 危機時の労務管理
- 危機対応で過労死に至ることがないように、メンバーの労働時間管理をする必要がある。
- 災害対応は短期戦でななく、長期戦
- 災害対策本部の会議も「何時~何時まで」と時間を決めて運営すべき。
- 被災地以外での災害対策本部の設置や、リモートでの災害対策本部のあり方を考えることも必要。
1−4 なぜ今、企業防災が必要なの?
- 近年の災害は従来認識していた規模や頻度を大きく超え、その様相を変化させている。
- 豪雨災害は創造を超えるペースで激しさを増している。
このような状況の中、企業は新しい視点での対策が求められている。
従来の想定を超える雨量に対応できる対策を講じる必要がある。 - 台風も大型化と進路予測の困難性が増大している。
線状降水帯の発生も注目すべき現象 - 地震についても、事務所が複数の地域に点在している企業の場合、それぞれの地域特性に応じた対策が求められる。
- パンデミックとサイバー攻撃にも対応が必要。
- パンデミックでは、人々の移動や接触が制限され、通常の事業運営が困難となり、働き方改革の変革も迫られる。
- サイバー攻撃は、業務の停止だけでなく、顧客情報の流出など、深刻な被害をもたらす可能性がある。
- 重要なのは、サプライチェーン全体を視野に入れた対策。
まとめ
- 企業防災の基本的な考え方
企業防災の第1の目的は「人命を守ること」。これは決して譲れない原則。その上で、企業の事業を守り、従業員の生活を維持し、社会的な責任を果たしていく。大事なのは何か起こってからの人命だけでなく、危険箇所を事前にチェックして、人命が危険にさらされないように準備していくことこそが、リスクマネジメントの重要ポイント。- 重要なポイント
- 人命保護が最優先
- 事業の継続による従業員の生活維持
- 社会的責任の遂行
- 重要なポイント
- 企業を脅かす災害の種類と特徴
災害は大きく3つに分類される。- 自然災害
- 地震、台風、豪雨、豪雪など
- 近年は激甚化、頻発化の傾向
- 予測が困難
- 人為災害
- 火災、爆発、情報漏洩
- サイバー攻撃なども含む
- 技術の発展とともに新しい形の災害も
- 社会的災害
- 感染症、テロ、暴動など
- グローバル化により影響が広域化
- 予防と対応の両面が重要
- 自然災害
- 企業活動の変化と対応
現代の企業活動の特徴- グローバル化によるサプライチェーンの複雑化
- デジタル化による新たなリスクの出現
- 市場変化の加速による対応の困難さ
- 具体的な対策の方向性
企業防災を進める上で重要な視点とは?- 事前の備え
- ハザードマップの確認
- 建物や設備の補強
- 従業員への教育・訓練
- 災害発生時の対応
- 従業員の安否確認手段の確保
- 緊急連絡網の整備
- 避難計画の策定
- 事業継続のための準備
- 重要データのバックアップ
- 代替拠点の確保
- 取引先との協力関係構築
- 事前の備え
- 新しい防災の考え方
最新のトレンド- フェーズフリー(平常時と非常時の境界をなくす)
- デジタル技術の活用・働き方改革との連携
2.BCPって何?ー事業継続計画を本質的に理解する
「BCPって何?」では、主に以下のことが述べられています。
- BCPはBussiness Continuity Planの略称で、企業が危機的状況に直面しても「重要な事業だけでも」継続できるようにするための計画。
- BCPは複数の計画や手順書から構成される体系的な文書群。
文書体系は大きく「重要事項策定プロセス」と「実施運用プロセス」に分けられる。- 重要事項策定プロセスは、現状認識と方針決定から始まり、現状分析、重要業務の」明確化、リスク分析、目標復旧時間の設定、事業継続戦略の決定まで行う。
このプロセスの成果分が「重要事業の継続計画」として文書化される。
- 重要事項策定プロセスは、現状認識と方針決定から始まり、現状分析、重要業務の」明確化、リスク分析、目標復旧時間の設定、事業継続戦略の決定まで行う。
- 防災は災害を防ぎ、被災した場合は元に戻すという考え方。
事業継続は「事業を継続する」という考え方。- 重要な部分を守って事業を継続させる考え方。
普段10人でやっている仕事が、3人しか働けなくなった場合「3人でどうやって事業を継続させるか」を考えるのが事業継続。
- 重要な部分を守って事業を継続させる考え方。
- 事業継続計画書(BCP)の10要素
「事業継続(BC)」に必要な5つの要素とそれを実行するための「事業継続計画書(BCP)」に必要な5つの要素から構成されている。- 「事業継続(BC)」に必要な5つの要素
- リスクの評価とコントロール
企業が直面する可能性のあるリスクを評価し、それをどう管理するかを検討する。 - ビジネスインパクト分析(BIA)
災害などが発生した際に、企業活動にどのような影響がでるかを詳しく分析すること。- この業務が止まると1月当たりどれくらいの損失が発生するか 等
- 事業継続戦略の検討と策定
目標復旧時間内に事業を復旧するために、重要リソースをどのように確保するかを検討するもの。
事前対策も含まれる - 緊急対応策の検討と課題
重要事業の最大の許容中断時間を把握した上で、目標復旧時間を設定し、再開するための緊急対応策を策定する。
これは、災害発生直後にどのように行動し、いかに迅速に対策するかをまとめた計画。 - 事業継続マネジメント(BCM)の導入と経営者の承認
年間を通じた計画の改善や経営者への承認と活動報告などをPDCAサイクルで回していく必要がある。
- リスクの評価とコントロール
- 「事業継続計画(BCP)」に必要な5つの要素
- 事業継続計画書の作成と実施
具体的な計画を文書化し、実行に移す。
計画は実際に実行可能な具体的なものである必要がある。 - 事業継続や危機管理に関する啓発・研修プログラムの作成
従業員の教育プログラムを作成実施するが、全従業員が計画の内容を理解し、自分の役割を把握することが重要。 - 事業継続計画の更新と訓練の実施
計画は定期的に更新する必要がある。定期的な訓練も欠かせない。 - 危機広報の検討
取引先、地域住民、監督官庁など、これらに対し「我が社は大丈夫」「業務を継続できる」といった情報を適時適切に発信する必要がある。 - 外部機関との調整
警察や消防など、外部機関との連携や調整も重要。双方のコミュニケーションが重要となる。
※これらの5つの要素はBCMの中でも実施していくもので、計画の更新は重要。
実際に訓練も必要。危機広報も重要な要素。外部機関との調整も重要。
BCPはBCに直接かかわることだけでなく、事業継続能力を高めるための
全体的な管理や外部とのコミュニケーションも求められる。
- 事業継続計画書の作成と実施
- 「事業継続(BC)」に必要な5つの要素
2−2 何が大事かを決める
- 企業が事業を継続していくためには、「何を守るべきか」を明確にする必要がある。
「これを失うと企業の存続が危ぶまれる」という重要事業を特定し、優先的に守る必要がある。 - 「目標復旧時間」の設定も必要
- 「企業としてどれくらいの時間、事業の中断に耐えられるか」を考え、その期間内に復旧できるような戦略を実行しなければならない。
その判断は、主に以下の3つの観点から検討する必要がある。- 財務面
事業が停止すると売上や利益が途絶える。どれだけの期間収入がなくても持ちこたえられるのか、見極める必要がある。 - 取引先との関係
自社の財務、体力が十分あっても、取引先が別の企業に切り替えるリスクもある。 - 企業の信用・ブランド
業種によって求められる復旧時間は大きく異なる。
食品スーパーの場合は、長期営業停止は地域住民の信頼を大きく損なう可能性がある。
- 財務面
- 「企業としてどれくらいの時間、事業の中断に耐えられるか」を考え、その期間内に復旧できるような戦略を実行しなければならない。
2−3 事業をどう続けていくのか?
- 目標復旧時間の設定には、単に財務的な観点だけでなく、取引先との関係維持や企業としての社会的責任、提供しているサービスの特性なども考慮に入れる必要がある。
- 災害や事故が発生した際、まず重要なのは「どの経営ソースが、どれくらい、いつまでに必要なのか」を明確にすること。
- 事業継続戦略は、被害の大きさによって、大きく4つに分類される。
- 最も基本的な戦略は復旧戦略
- 被害を受けた設備や機器を修理して元の状態に戻す方法。
- 次に重要な戦略が代替戦略
- 復旧では対応できない場合に、別のリソースに切り替える方法
人の代替、物の代替、場所の代替が考えられる。
- 復旧では対応できない場合に、別のリソースに切り替える方法
- 互恵戦略(お互いの戦略)
- 同業他社との協力関係を活用する戦略
- 自社商品を提供できなくなった場合、同業他社から仕入れてお客様に提供する方法
- 同業他社の工場を一時的に借りて、自社製品を製造することもある。
- 停止・撤退戦略
- 重要事業を優先的に維持するために、優先度の低い事業を一時的に停止したり、場合によっては撤退するといった戦略。
- 最も基本的な戦略は復旧戦略
- 事業継続計画において、もう一つ重要なポイントは継続的な改善。
- まずは災害対策本部立ち上げの仕組みつくりから始め、段階的に取り組み、継続的に改善していく。
- BCPの改善プロセスは、PDCAサイクルが基本となる。
- 事業継続計画は、企業を取り巻く変化に応じて常に見直す必要がある。
まとめ
- BCP(事業継続計画)は、災害や事故など予測不能な出来事が起きた時にも、重要な事業を止めずに続けるための「守り」と「攻め」の両方を兼ね備えた戦略的な取り組み。
- 防災は、人命保護を目的とし、すべてを守るという思想に基づいているが、BCPは”選択と集中”の考え方に立ち、重要なものを見極めて守るアプローチをとる。
- BCPの要点
- 人命保護はすべての前提
- 重要事業を特定し、そこにリソースを集中させる。
- 財務・取引先・ブランドという観点から復旧時間を設定する。
- キャッシュフローを止めないことが継続の鍵。
- 事業継続の仕組み(BC)と、それを実行する計画(BCP)を切り分けて考える。
- BC(事業継続)の構成要素
- リスク評価とコントロール
- ビジネスインパクト分析(BIA)
- 事業継続戦略の設計
- 緊急対応策の設計
- BCM(事業継続マネジメント)の導入と経営者の関与
- BCP(事業継続計画)の構成要素
- 実行可能な計画の作成と運用
- 従業員への教育・研修プログラムの実施
- 計画の更新と定期的な訓練
- 危機時の社外広報(危機広報)
- 警察・消防など外部機関との調整と連携
3.災害が起きた!その時どうする?ー緊急時の対応を理解する
「災害が起きた!その時どうする?」では、主に以下のことが述べられています。
- 企業の災害対応は、時系列に沿って大きく4つのフェーズに分けることができる。
- 事前対応(平時の備え)
- 災害に備えた準備を行う。
体制と運用の確立、教育・訓練の実施、事業継続対策の準備が含まれる。
特に重要なのは、代替拠点の確保、バイタルレコード(重要記録)の管理、取引先・調達先の複数化といった事業継続のための具体的な準備。
- 災害に備えた準備を行う。
- 初動対応(発災直後の対応)
- この段階で何よりも人命の安全確保を最優先とし、同時に二次災害の確保にも努める。
自社の被害状況、ライフライン・インフラの状況、取引先の状況等の情報収集を行う。
- この段階で何よりも人命の安全確保を最優先とし、同時に二次災害の確保にも努める。
- 復旧対応(事業継続・復旧)
- 現状を正確に把握・分析して、事業継続のための戦略を選定して実行に移す。
進捗管理を行いながら、計画的に復旧を進めていくことが重要。
- 現状を正確に把握・分析して、事業継続のための戦略を選定して実行に移す。
- 事後対応(振り返り・改善)
- それまでの対応記録を整理。分析し、そこから得られた教訓を抽出する。それを基に各種対策の見直しと改善を行い、次の災害に備える。
- 事前対応(平時の備え)
3−1 現地対策本部はどうすべきか?
- 災害が発生した際、被災地では現地対策本部を立ち上げ、現場対応の中心となる。
- 現地対策本部では、まず状況を判断し、指示を出す意思決定者の役割が必要。
次に様々な情報を収集し整理する役割、資金を管理する役割、資材・備品・食料などの資源を管理する役割が必要。 - 設置場所は安全性を最優先に考え、近隣の安全な場所に設置することも検討する。ある程度現地に近い場所に設置するのが望ましい。
- 災害発生時の緊急対応手順
①社員の安全確保→②本社・拠点の被害状況確認→③事業継続判断→④取引先への連絡
3−2 本社災害対策本部はどうすべき?
- 本社災害対策本部は被災地から離れた場所に設置し、現地災害対策本部を支援する。
- 具体的な活動は、まず発生事象の把握から始まる。
現地対策本部から送られてくる情報を基に、自社の被害状況を把握し、影響を分析する。同時に取引先の情報も収集し、サプライチェーン全体への影響も評価する。 - 人員の派遣、物資の調達、資金の確保など、現地では対応困難な支援を本社が担当する。
- 災害対応による過労を防ぐ対策
- 社長の役割の明確化
社長は災害対策本部に常駐すべきではない。経営者として重要な役割があるため、他のメンバーに委ねるべき。
そのために権限移譲ルールの明確化が必要。
→誰がどのような権限を持つのか等 - BCPの労務管理体制構築
メンバーの労働時間を適切に管理する担当者を必ず配置する。 - 休憩の取り方の工夫
交代で休憩を取り、体力を回復させる。 - 災害対策本部の時間管理
災害対策本部会議は「何時から何時まで」という時間を決めて運営する。 - 被災地以外での災害対策本部の検討
被災地に集まって食事も入浴も就寝場所もない状況で活動するのは非効率。リモートでの本部運営も選択肢。
災害対応は長期戦なので、持続可能な体制で対応するための工夫が必要。
- 社長の役割の明確化
3−3 自分の命が優先
- 事業継続方針で最も重要なのは「従業員の生命の安全を最優先する」という点
- 事業継続方針の基本的な考え方
- 従業員の生命の安全を最優先する
- 企業としても供給責任を果たし、社会的責任を遂行する
- 緊急時においても地域を大切にし、社会に貢献する。
- 持続的な企業の成長のために、事業継続力の強化に取り組む。
- 従業員の安全確保のための具体的な行動指針
- 災害時には、自分の安全確保を最優先すること
会社からの指示を待たず、自主的に判断する - 安全を確保した後は、可能な範囲で会社へ連絡することが望ましい。
落ち着いてから連絡する。 - 企業も従業員がこのような判断を行えるように、日頃から意識付けを行わなければならない。
- 災害時には、自分の安全確保を最優先すること
まとめ
- 企業の災害対応フェーズ(時系列に沿って4段階の対応)
- 事前対応
- 設備体制と運用の確立
- バイタルレコード(重要記録)の管理
- 事業継続対策の準備
- 教育・訓練の実施
- 初動対応
- 人命安全の確保を最優先
- 二次災害の防止
- 被害情報の収集
- 現地災害対策本部の設置
- 復旧対応
- 状況の把握と分析
- 事業継続戦略の選択
- 計画的な復旧活動
- 事後対応
- 対応記録の整理
- 教訓の抽出と反映
- 対策の見直し
- 事前対応
- 災害対策本部の運営体制
- 現地災害対策本部の役割
- 現場での直接的な対応
- 人命の安全確保
- 二次災害の防止
- 被害状況の把握
- 本社災害対策本部の機能
- 情報のインテリジェンス化
- 経営判断の実施
- 支援体制の構築
- 対外対応の実施
- 現地災害対策本部の役割
- 情報管理の3段階
- データ(生の情報)
- インフォメーション(確認された情報)
- インテリジェンス(分析・予測を加えた情報)
4.企業防災 何からすべきか?ー防災の準備と体制構築を理解する
「企業防災 何からすべきか?」では、主に以下のことが述べられています。
- 教育訓練、対策実施計画、維持改善計画といった「実施運用プロセス」が実際の企業防災を支える重要な部分となる。
- 教育訓練の実施、対策の実行、そして評価の改善といった活動を通じてBCPを実効性のあるものに高めていく。
このプロセスの成果物として「緊急時対応計画」や「事業継続マネジメント計画」が作成される。
4−1 個人・市民としてやっておくべきこと
- 企業防災を考える上で、個人・市民としての準備と企業人としての準備の両方が必要。
- まず1人の市民として自宅で防災対策を行い、家族と自分自身を守らなければならない。
- 身の回りの危険を知る
- まず重要なのは、自分で住んでいる地域の危険について把握すること。
- 連絡手段の確保
- 家族との連絡手段を複数確保しておくこと。
- 連絡が取れない場合に備えて、集合場所を決めておく。
- 備蓄品と持ち出し袋の準備
- 備蓄品は自宅が安全である場合に自宅避難をするための準備。
- 持ち出し袋は、自宅にいられなくなった場合に、避難所などへ避難する際に必要な物資をまとめたもの。
- 訓練の重要性と日常化
- 避難訓練、連絡訓練、危険な場所の確認訓練などを定期的に行うことが重要。
散歩する際に避難経路を通ってみる等、日常生活の中に防災の要素を組み込んでいく。
- 避難訓練、連絡訓練、危険な場所の確認訓練などを定期的に行うことが重要。
- 家具の固定と室内の安全確保
- 自宅の安全対策として家具の固定は重要。
地震の際鬼家具が倒れてくることは、人命に関わる重大な危険となる。
- 自宅の安全対策として家具の固定は重要。
- 地域との連携
- 個人の防災対策は地域との連携があってこそ効果を発揮する。
いざという時に助け合える関係を作っておくことで、より効果的な防災活動が可能になる。
- 個人の防災対策は地域との連携があってこそ効果を発揮する。
- 備蓄品の準備(都市部の場合)
- 特に都市部では、災害時の物資の調達が困難になることが予想される。
最低でも3日分、できれば1週間分程度の食料と飲料水を準備しておくことが推奨されている。
- 特に都市部では、災害時の物資の調達が困難になることが予想される。
- 身の回りの危険を知る
4−2 災害時、組織的に動けれるか?
- 企業防災の基本は、災害対策組織体制の構築。
災害時特有の必要性に応じた体制を整える必要がある。
具体的には、災害対策本部の設備場所の決定、指揮命令系統の確立、情報収集・伝達体制の整備などが含まれる。 - 特に重要なのが通信手段の確保。複数の通信手段を用意しておく必要がある。
- インシデントコマンドシステム(ICS)の導入
- ICSの特徴
- 指揮命令系統の明確
- 災害対応の責任者(コマンダー)が指名され、その下に情報班、資源管理班、実施班などが配置される。
各班の役割と責任が明確に定められている。 - 情報の一元化も重要な特徴。
さまざまな情報を一ヵ所に集約し、分析した上で意思決定に活用する。
- 災害対応の責任者(コマンダー)が指名され、その下に情報班、資源管理班、実施班などが配置される。
- ICSの考え方は、あらゆる災害対応に応用できる。
- ICSを各企業の状況にカスタマイズして「誰が担当するか」ではなく、「何をすべきか」を明確にしておくことが重要。
- 指揮命令系統の明確
- 定期的な防災訓練の実施と見直し
- 実際に動かしてみなければ、いくら良い体制を作っても問題点は見えてこない。
- 訓練で見えてきた課題は次の改善につなげていくことが重要。
継続的に改善していく。 - BCPは誰が実施しても同じような対応ができるマニュアルを作成することが重要になる。
- 企業防災を実効性のあるものにするために、以下の点に注意を払わなければならない。
- BCPの実践的な運営訓練を行うこと。
- 情報収集・分析・伝達の仕組みを確立すること。
- 定期的なマニュアルの見直しと更新を行うこと。
- 全従業員への教育と意識づけを継続すること。
- ICSの特徴
まとめ
- 防災対策の2つの防災準備
- 個人・市民としての準備
- 地域の危険性の把握
- 家族との連絡方法の確保
- 備蓄品の準備
- 避難経路の確認
- 家具の固定
- 企業としての準備
- 災害対策組織の構築
- 通信手段の確保
- 備蓄品の管理
- 訓練体制の整備
- 個人・市民としての準備
- 法的枠組みの理解
- 消防法による対応
- 火災対策が中心
- 避難訓練の実施
- 自衛消防隊の設置
- 災害対策基本法
- 事前災害への対応
- 人命保護の原則
- 組織的な対応体制
- 消防法による対応
- ICSの基礎要素
- インシデントコマンドシステムの特徴
- 明確な指揮命令系統
- 情報の一元管理
- 柔軟な組織拡大と縮小
- 標準化された対応手順
- インシデントコマンドシステムの特徴
- 効果的な訓練の実施
- 訓練の基本方針
- マニュアルに基づく訓練
- 計画的な実施
- 継続的な改善
- 全員参加の原則
- 避けるべき事項
- その場の判断に依存した訓練
- 役員の能力試しのような訓練
- 計画性のない突発的な訓練
- 訓練の基本方針
- チェックポイント
- 組織体制は文書化されているか?
- マニュアルは定期的に更新されているか?
- 従業員への教育は継続的に行われているか?
- 地域との連携は図られているか?
5.企業防災力を上げる!ー防災力向上のための実践方法を習得する
「企業防災力を上げる!」では、主に以下のことが述べられています。
- 企業防災力を向上させるためには、計画的な取り組みが欠かせない。
- 教育と訓練を実施し、その結果を評価・改善し、さらに活動自体を推進していくという一連のサイクルを確立する必要がある。
5−1 企業防災を計画する
- 年間計画策定の手順
- 現状分析:これまでの実績と課題の確認
- 目標設定:具体的かつ測定可能な目標の設定
- 活動計画:目標達成のための具体的な活動の計画
- 実施体制:担当者と役割分担の明確化
- 季節に応じた訓練計画の例
- 梅雨期(6-7月):水害対策訓練、排水設備点検
- 台風シーズン(8-10月):強風対策確認、避難経路確認
- 冬季(12-2月):凍結対策訓練、暖房設備点検
- 通年:地震対策訓練、火災対策訓練
- PDCAサイクルを意識して計画を立てる。
- PDCAサイクルの具体例
- Plan:年間計画の策定、実施手順の
- Do:計画に基づく訓練の実施
- Check:訓練結果の評価、課題の抽出
- Action:次回計画への改善点の反映
- 計画を立てる際は、具体性、実行可能性、継続性の3つの観点を意識して計画を策定する。
- 年間計画立案時の最終チェックポイント
- 必要な予算は確保できているか
- 人員の配置は適切か
- 季節性への配慮はできているか
- 予備日の設定はされているか
- 評価方法は適切か
5−2 企業防災を理解し、機能させる
- 企業防災を効果的に機能させるためには、組織の中で適切に理解され、実践されることが重要。
- 従業員は、自分の身を守ることを最優先に行動できることが重要。
- 従業員向けの教育訓練のポイント
- 基本的な避難行動の習得
- 安否確認システムの操作方法の習熟
- 災害時の基本的な対応手順の理解
- 自己判断での行動開始の重要性の認識
- 経営層には災害時に組織全体の意思決定を行う責任がある。
訓練では特に図上訓練が効果的。 - 経営層向け教育訓練のポイント
- 災害時の意思決定プロセスの確認
- 情報の収集と分析の手法の習得
- 判断基準の明確化と共有
- ステークホルダーの関係考慮
- 災害対策本部メンバーの訓練では、情報の収集から分析、意思決定の支援まで、一連の流れを確実に実施できるようにすることが重要。
- 災害対策本部メンバー向けの訓練のポイント
- 情報収集と分析の手順確認
- 本部の設置・運営手順の習熟
- 代替手段の確認と実践
- 組織間の連携方法の確認
- リーダー向けの訓練では、特に初動対応のタイミングと判断基準の理解に重点を置く。
- 部門・部署のリーダー向けの訓練のポイント
- 初動対応の判断基準の理解
- 部下への指示系統の確認
- 他部門との連携方法の習得
- 新入社員向けの教育訓練は、基本に重点を置いて実施する。
入社時の研修プログラムに防災教育を組み込む - 新入社員向けの教育訓練のポイント
- 会社の防災方針の理解
- 基本的な避難経路の確認
- 安否確認システムの使用方法
- 緊急連絡網の確認方法
- 企業防災を機能させるには、効果的な教育・訓練が不可欠。
- 人や資源を動員する実動訓練と災害状況を想定し、対応を検討する図上訓練をバランスよく組み合わせることが重要。
- 実動訓練のポイント
- 安全面の配慮は十分か
- 必要な器材は揃っているか
- 参加者全員が実践できる環境があるか
- 振り返りの時間は確保されているか
- 図上訓練のポイント
- BCP運営訓練:情報収集と意思決定の演習
- 事業継続計画検証訓練:復旧手順の確認と課題の抽出
- シナリオ訓練:想定された状況下での対応訓練
- ディスカッション形式訓練:グループでの問題意識解決演習
- 図上訓練の実施手順
- 事前準備:シナリオの作成、必要資料の準備
- 状況付与:災害発生の状況説明
- 対応検討:グループでの討議
- 発表 :検討結果の共有
- 講評 :改善点の確認
- オンライン訓練の場合は、時間と場所の制約が少なく、多くの従業員が参加しやすい。
- オンライン訓練の活用のポイント
- 短時間で完結する教材の作成
- 視聴しやすい環境の整備
- 進捗管理の仕組みづくり
- フォローアップの実施
- 訓練レベルを段階的に上げていく、段階的訓練の実施例
- レベル1:個人の基本動作確認
- レベル2:チーム内での連携確認
- レベル3:部門間の協力体制確認
- レベル4:全社的な総合訓練
- 店舗における訓練の工夫(営業時間中、営業時間前後に訓練を取り入れる)
- 営業時間に応じた訓練内容の設定
- 顧客特性を考慮した対応手順の確認
- 全従業員が参加できる体制づくり
- 定期的な知識確認テストの実施
- 訓練を行うだけでなく、その結果を社内で共有する。
「訓練の見える化」を行う。訓練の状況や結果を社内で可視化することで、従業員の意識向上につなげる。 - 訓練見える化のポイント
- 実施状況の定期的な報告
- 部門間での好事例の共有
- 改善提案の募集と表彰
- 結果のフィードバックと活用
- 訓練で最も重要なのは「継続性」と「実践性」のバランス。
- 訓練で得られた気づきを実際の業務改善に活かすという視点は重要。
- 訓練を業務改善につなげるポイント
- 問題点の具体的な記録
- 改善策の検討と実施
- 効果の確認と評価
- 時間訓練への反映
- 訓練の効果を高めるには、事前準備が必要。
特に訓練のシナリオ作りには十分な時間をかける必要がある。 - 効果的なシナリオ作成のポイント
- 過去の災害事例の分析
- 自社の弱点の組み込み
- 現実的な時間設定
- 想定外の要素の追加
- 訓練の評価は、具体的な評価と基準を設定することが重要。
特に大切なのは、訓練参加者からのフィードバックを元にした訓練の改善活動。参加者が気づいた問題点や改善活動をできるだけ具体的に収集する。 - 訓練における実施評価のチェックポイント
- 災害行動の実効性
- 災害対策本部の情報収集対応力
- 表示・通信など現場環境の収集・活用
- 参加者の気づきと改善提案の収集・活用
- 評価結果は必ず文書化して記録に残すことが重要。
改善策についても、具体的な実施方法や担当者、期限などを明確にしておくことが必要。 - 訓練評価の記録
- 訓練評価シートを用いた体系的な記録と採点
- 写真や動画による現場の客観的な記録
- 参加者アンケートによる気づきや課題の記録
- 問題の原因分析と具体的な改善策の記録
- ある病院はでは、訓練で明らかになった課題を以下のように分類し、優先順位を付けて改善に取り組んでいる。
- 人命に関わる重要事項(即時対応)
- 基本的に防災機能に関する事項(3ヶ月以内に対応)
- 運用改善で対応可能な事項(半年以内に対応)
- 中長期的な検討が必要な事項(1年以内に計画策定)
- 改善活動の進め方
- 課題の優先順位付け
- 具体的な改善計画の策定
- 実施状況の確認
- 効果の検証
- 内部環境整備のポイント
- 経営のコミットメント:上層部が改善を後押しする仕組みをつくる。
- 実施体制の整備:現場が動ける体制と役割を明確にする。
- 担当者への支援:負担を抑え、継続できる環境にする。
- 成果の可視化:改善の進み具合を見える形で残す。
- 外部環境の変化への対応は喫緊の課題。
環境変化に対応するために、定期的に想定シナリオをチェックする。 - 外部環境変化への対応のポイント
- 定期的な情報収集
- 想定シナリオの見直し
- 新技術の活用検討
- 柔軟な計画修正
- BCPは一度策定して終わりではなく、継続的な改善と進化が必要になる。
5−3 どう評価し、改善していく?
- 組織全体として、BCM(事業継続マネジメント)が適切に実施できているかを評価する。
組織全体の事業継続活動をマネジメント視点から評価する。
例えば年間計画通りの訓練実施や予算の適切な確保、人員配置などが評価項目。 - 組織全体の事業継続活動の評価の指標
- 訓練参加率:計画された訓練に対する実際の参加率。
- 目標達成度:設定された目標に対する達成度。
- 改善実施率:前回指摘された課題に対する改善実施の割合。
- 参加者の理解度:テストやアンケートによる理解度の確認。
- これらの指標を定期的に測定し、その推移を確認することで、改善の進捗状況を客観的に把握することができる。
- 特に重要なのは、BCM推進会議の開催。
この会議では、訓練で明らかになった課題や指摘事項を共有し、改善策を検討する。 - BCM推進会議での検討項目
- 訓練結果の分析と課題の抽出
- 改善策の検討と優先順位付け
- 実施計画の策定
- 必要な予算・リソースの確認
- BCM推進会議で検討された改善策は、具体的な実行計画に落とし込む必要がある。その際以下のような要素を明確にしておくことが重要。
- 実施内容:具体的に何をするのか
- 担当者:誰が中心となって進めるのか
- 期限:いつまでに完了させるのか
- 必要なリソース:予算や人員の手当て
- 効果確認方法:どのように改善を確認するのか
- 改善活動を進める際の重要ポイントは「見える化」
改善の進捗状を組織内で共有する。
5−4 IT、デジタルができること
- 防災活動でも、IT・デジタル技術の活用は不可欠。
- 安否確認システムの主な機能
- 一斉通知
- 回答状況のリアルタイム把握
- 未回答者への自動再通知
- 集計結果の自動作成
- 位置情報の把握
- 被害情報把握・情報分析システムの活用例
- SNS情報の自動収集・分析
- 気象情報データとの連携による予測
- 過去の災害データの分析
- リスク評価の自動化
- デジタル化成功のポイント
- 段階的な導入アプローチ
- 使いやすさの重視
- 定期的な訓練の実施
- 運用体制の整備
- デジタル化失敗防止のポイント
- 必要最小限の機能からスタート
- 運用体制の事前整備
- 定期的な訓練の実施
- データ更新ルールの明確化
まとめ
- 企業防災力を確実に向上させるためには「年間計画の策定」「対象者に応じた効果的な教育訓練の実施」「訓練結果の評価と改善」「IT・デジタル技術の活用」の4つを確実に進めていく必要がある。
それぞれの要点は以下の通り。- 年間計画の重要性
年間計画の防災活動を着実に実施するためのロードマップ- 【継続性の確保】定期的な訓練の見直し
- 【バランスの取れた配分】教育と訓練の適切な組み合わせ
- 【実行可能性の考慮】企業の実情に合った現実的な計画
- 【季節性への配慮】災害特性を踏まえた訓練時期の設定
- 対象者別教育訓練の実施
それぞれの立場に応じて、実効性のある教育訓練を実施する。- 【一般従業員】基本動作の習得、安全確保意識の向上
- 【経営層】判断力・意思決定能力の強化
- 【災害対策本部メンバー】情報収集・分析力の向上
- 【部門リーダー】初動対応の判断力向上
- 【新入社員】防災基礎知識の徹底習得
- 訓練の効果的実施方法
訓練は以下の4分類に基づき、それぞれ適した方法で実施する。- 【反復訓練】決められた行動の習熟
- 【基礎訓練】基本技能の習得
- 【実践訓練】応用力の向上、問題発見能力の養成
- 【教育訓練】知識の理解・専門性の向上
- 評価と改善(PDCAサイクル)
訓練後の評価・改善サイクルを継続的に実施する。- 具体的評価指標を設定し、評価シートでの記録
- 改善点の具体的抽出と実施
- 外部環境変化に柔軟に対応するシナリオの見直し
- IT・デジタル技術の活用
防災活動の効率化と精度向上のため、デジタル技術を積極的に活用する。- 安否確認・被害情報把握システムの導入
- 使いやすいユーザーインターフェースの提供
- 定期的な訓練を通じて、全員が操作を習熟できる環境整備
- 企業防災力向上のチェックポイント
以下を定期的に確認し、自社の防災活動の質を高める。- 年間計画は適切に策定・実施されているか
- 対象者別の訓練が適切に行われているか
- 評価・改善のPDCAサイクルが確実に機能しているか
- デジタル技術は効果的に導入・活用されているか
- 継続的な改善活動が実施され、効果が確認できているか
- 年間計画の重要性
6.企業防災の未来ー持続的な防災体制と新たな価値創造
「企業防災の未来」では、主に以下のことが述べられています。
6−1 企業防災の進化と課題
- 企業は自然災害や感染症など、想定されるリスクを適切に把握し、事前対策を講じることが重要。
- BCPは実行可能な形で運用する必要がある。
- インテリジェンスサイクル
このサイクルは、以下の4段階で構成され、企業防災においても極めて有効。- 情報収集:多様なソースからデータを集める。
- 情報処理:収集したデータを整理・分類する。
- 情報分析:処理データから意味を抽出し、将来予測を行う。
- 情報提供:分析結果を意思決定者に伝達する。
- 企業防災は「コスト」ではなく、「価値創造」の手段になり得る。
適切なリスクマネジメントを実践することで、企業の社会的信用を高め、競争力の向上につなげることができる。
6−2 テクノロジーが変える企業防災
- 注目すべきは、AIの進化。
災害対応の具体的な提案を行うAIシステムが開発中。 - 量子コンピューティング
精緻な災害シミュレーションができるようになる。 - AR、VRも防災訓練の質を根本的に変える可能性を秘めている。
- 災害対応力が高い企業は取引先や投資家から信頼を得やすくなる。
6−3 組織と文化からの取り組み
- 企業防災の成功には、防災意識を企業文化として根付かせることも不可欠。
運用するのは従業員。 - 企業防災の観点からCSR活動を「社会貢献」にとどめておくのではなく、「企業の競争力向上の一環」として位置づけることが重要。企業価値向上につながる。
6−4 新時代の企業防災戦略
- 企業防災をより実効性のあるものにするためには、防災を単なる「義務」という位置付けではなく、企業の成長戦略の一部として位置付けることが不可欠。
- 防災を企業の競争力向上につなげるためには、「レジデンス経営」という新しい考え方を取り入れることが有効。
- レジデンス経営
企業が環境変化や危機に柔軟に適応し、成長を続けることを目指す経営手法
- レジデンス経営
まとめ
近年、地震、豪雨といった自然災害が各地でに起こり、サーバー攻撃といった人為災害も発生しており、有事の際の企業の対応をまとめたBCP(事業継続計画)の作成の重要度は高まっていると感じます。
本書は、BCP(事業継続計画)について詳しく書かれています。
なお、BCP(事業継続計画)は本書の中でも述べられていますが、作成したら終わりではなく、訓練を定期的におこない、課題を抽出し、継続的に改善していく必要があります。

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