会社は大きくせず、1人で経営しなさい

本の書評(おすすめの本)

今回紹介する本は、「会社は大きくせず、1人で経営しなさい」(山本憲明著 明日香出版)です。

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会社は大きくせず、1人で経営しなさい [ 山本 憲明 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2025/8/2時点)


本書は、以下の9部構成になっています。

  1. 1人で経営する時代に大きくする必要はない
  2. 会社経営と「人生設計」を考える
  3. 誰でも成功する!! 1人会社の作り方と運営方法
  4. 時間とお金のリソースを徹底的に考える
  5. 1人経営でもたくさん儲けることはできる
  6. 「仕組み」で時間を作り再生産する
  7. AIの力を得て飛躍する
  8. 1人経営の実例と、目指す姿を考える
  9. 自分らしい生き方を手に入れる

1.1人で経営する時代に大きくする必要はない

「1人で経営する時代に大きくする必要はない」では、主に以下のことが述べられています。

  • 個人で事業をすれば、時間の自由度が増す。
  • 柔軟に方針が変えられる。
  • 1人でやるからこそ、自分なりの成果を出せる。
  • 売上規模が大きくなると、規模縮小が難しくなる。
  • 「人を増やすこと」によって、さまざまなトラブルが発生しやすくなる。
  • これからの時代は、「人を雇う」よりも、「自分とテクノロジーで何とかする」という発想が求められる。
  • 1人のビジネスが軌道に乗った後、さらに人を雇わずに別のビジネスを手掛けることが可能になる。
  • AIなどをうまく活用すれば、1人でもやりたいことを形にできる。

2.会社経営と「人生設計」を考える

『会社経営と「人生設計」を考える』では、主に以下のことが述べられています。

  • ますは、「自分を大切にする」。
    「自分を守るためには、無理をしない」ことが大切。
  • 1人経営や人生設計をきちんと実行していくためには、何よりも「健康」が大切。
  • 「人生経営計画」を立てる。
    • 自分がいつまで働き、いつまで生きるのか、そして「お金をどう稼ぎ、どう使っていくのか」を決めていく計画。
    • この計画を作成するにあたって、「いつ仕事を辞めるのか」「いつまで仕事を続けるのか」を決める。
  • 人生計画の中に、経営計画がある。
  • 人生設計は、次の「3つの資本」が大事。
    1. 社会資本(人的ネットワーク)
    2. 人的資本(労働力・稼ぐ力)
    3. 金融資本(お金などの資本)
      ※これらの3つの資本をなるべくバランスよく形成していくのが、
       合理的で幸せ、かつ、自由な人生を送るために必要。
  • 社会資本については、自分が周りに何を与えられるか考えてみる。
    相手に何かしてもらう前に、自分が相手にどのように貢献できるかが大切。
    それにより、将来自分を助けてくれる人間関係が生まれ、ネットワークが広がる。
  • 人的資本の面では、健康と能力を維持するために、どんな生活を送るかが必要。
    「自然に楽しく生きていくうちに、能力が高まり健康を保てる。」ようなライフスタイルを目指す。
  • 金融資本に関しては、今の収入を少しずつ投資に回して、将来利益を生む資産を築いていくことが基本。
  • 「自分の人生をよくすることが大前提で、経営はそのあと」で、「人生をよくするための経営」とは、3つの資本を増やし、人生を充実させるという視点が重要。
  • 社会資本:
    顧客、取引先に加え、近所、家族のバランスの取れた人付き合いが、豊かな社会資本につながる。
  • 人的資本:
    経営を通じて必要なスキルや知識を身につければ、自然と自分の能力が磨かれる。
    健康管理も重要で、日常的に体や頭を使うことで、人的資本が高められる。
  • 金融資本:
    売上や利益を上げれば、経営者としての報酬や事業の蓄えを増やし、金融資本を強化できる。
  • 人生設計のポイント
    • いつまで生きるのか、いつまで仕事を続けるのか。
      自分の生きる、働く希望の年齢を反映した設計にする。
      →老後の生活費をイメージする。
      1年あたりの必要金額をおおまかに算出する。
    • 年金の見込み額を把握する。
      生活費と年金額の差額を確認する。
      ※「不足分×余生の年数」が必要な貯蓄額の目安。
  • 年間の不足額(例:150万円)、150万円を積み立てられるような役員給与(報酬)や利益設定を行う。
    式を記載
  • 1人経営をするからには、自分が思う「いい人生」を実現しなければ意味がない。
  • いい人生になるためのいい経営。
    • 健康を保つ経営
      体を壊してしまえば、どんなにお金を稼いでいても意味がない。
    • 良好な人間関係を築く経営
      取引先をほどよく分散しつつ、1人ひとりとある程度深く関係を築くことが理想。
    • お金について心配しない経営
      お金の不安を減らすような経営体制を整える。

3.誰でも成功する!! 1人会社の作り方と運営方法

「誰でも成功する!! 1人会社の作り方と運営方法」では、主に以下のことが述べられています。

  • 1人会社、1人経営の仕組みは、「ある程度売上が上がり、仕事をこなしながら顧客に貢献し、なおかつ、利益がきちんと残る。」ための仕組み。
  • 1人経営の仕組みを考えるうえで、「まずお金の回し方を逆算で決める。」という発想が重要。
  • 将来設計から逆算して年収(社長の給料)を1,000万円確保したい場合、そこから必要な粗利を割り出し、さらに粗利率(たとえば70%)を考慮して、必要な売上高を算出する。
    もし、毎年3,600万円(毎月300万円)の売上が必要だと分かれば、その数字を達成できるか、単価×客数 等、具体的なプランに落とし込む。
  • 個人事業か法人か。可能なら法人を作った方が有利。
  • 法人を作るメリット
    • 節税や補助金など、有利な制度を利用しやすい
      • 個人事業は、利益が増えるほど高い税率を課される。
      • 法人は、一定の税率なので、一定以上の利益が出ると、法人の方が税金を抑えられるケースが多い。
    • 公私混同を避けられる。
      • 個人事業は、事業口座と個人の生活費が混同しがちで、利益を把握しにくいことがある。
      • 法人は、役員給与を設定し、そこから報酬を受け取るので、法人と個人のお金を切り分けやすい。
      • 法人では、役員給与を経費計上でき、個人側は「給与所得控除」を受けられる節税メリットもある。
  • 失敗しない経営計画をどう立てるか、「経営計画の基礎」。
    • 型を決めて逆算する。
      「自分が死ぬまでの一生」を見据えた計画を立てる。
    • 家計の経営計画もセットで考える。
      • 「会社・事業の計画」と「家計(生活費)の計画」を連動させる。
      • 仕事を引退するまでに必要な貯蓄額を算出する。
    • 具体的な”型”の例
      粗利(売上-原価)の配分を「役員給与4:経費4:利益2」に設定し、さらに役員給与の使い道を「生活費1:税金1:将来投資1」という具合に分ける。
  • 売上をどう増やすか。
    「なるべく手をかけずに売上を増やす」仕組みづくり。
    →単価を上げていくのもそのひとつ。
     (「売上が伸びても作業量が大幅に増えない」ビジネスモデルにする)
  • 1人会社では、特に「利益率」を高めることがカギとなる。
  • 売上は低め、経費は高めに見積り、それでも十分回せるようにしておけば、不測の事態があっても余裕を持って経営できる。
  • 長期に経営を続けるために押さえておく2点
    1. どんなことでも長期的な視点で考える。
    2. 他人と比べない。
      「自分がやりたいこと」「自分のペース」をしっかり持ち、自分だけの道を作っていく必要がある。
      ※地道にコツコツとマイペースで続けるほうが、結果として長寿の経営になりやすい。

4.時間とお金のリソースを徹底的に考える

「時間とお金のリソースを徹底的に考える」では、主に以下のことが述べられています。

  • 1人経営では、「時間」「お金」そして「情報」が大切になる。
  • 「時間」
    • 時間は増やすことも、貯めておくこともできない。
    • 1人経営では、自分がやらなければならない仕事を代わりにやってくれる人がいないので、自分の時間の使い方が非常に重要となる。
    • 時間を大切にするとは、「今、この瞬間を全力で生きる」こと。
    • 健康に生きる期間を延ばすことは可能。
    • 毎日の課題に真剣に向かい合い、少しずつ前進していくことが、「時間を生かす」ということ。
    • 「自分の時間を確保する。」ことが最も重要。
    • 1人ビジネスでは、自分が創造し、決断し、行動しないとビジネスが成り立たない。自分の時間を持てなければ、何も生み出せない状態に陥ってしまう。
    • 「自分だけの時間」を確保することを最優先に心掛ける。
  • 「なるべく一つのことに集中する」ことも大事なポイント。
  • 1人経営において、1つの分野や事業にエネルギーを集約すると、効率化、省力化が進み、余分な時間や労力を割かずに済む。
  • まずは、1つの事業を軸として成功させ、そこから関連するビジネスに展開していく。既存の事業とシナジー(相乗効果)がある分野を見極める。
    周辺事業を並行して育てておくことが、将来へのリスクヘッジになる。
  • 時間を拡張する方法
    • AIの活用
    • 1つのタスクをどう効率化し、作業時間を短縮するかを意識しながら仕事をすれば、結果的に「経営者自身が使える時間」が増える。
  • 「お金」
    • 売上計画は少なめに、経費は多めにという保守的な見積もりが無難。
    • 最低限確保すべき金額や生活費の目安を決めておき、それを前提に経営計画を組む。
    • 「最低限いくらあれば暮らせるか」を意識する。
    • 1人でそこそこ稼いで、最低限の暮らしを確保し、もし多ければ「それはそれでラッキー」くらいな気持が一人経営にはちょうどいい。
    • 「なるべく役員給与をしっかり取って、会社にも利益を残す」という姿勢をベースに経費をコントロールすることが大切。
    • 理想は「ある程度蓄えて、普通に使い、少し残して死ぬ」

5.1人経営でもたくさん儲けることはできる

「1人経営でもたくさん儲けることはできる」では、主に以下のことが述べられています。

  • 自分が持っている力を最大限活かして、効率よく稼げばいい。
  • 無理に大きく儲けなくても、自分が望む範囲で十分。
  • 最も大切なのは、「最終的にどれだけ利益が残せるか」
    →「税引後の純利益」が重要。純利益率10%を目指す。
  • 経費を節約して、利益を残す。
  • 楽観的過ぎる計画で役員給与を高くし、無闇に生活レベルを上げるのは危険。
    「必要な分だけ自分に分配して、節約しながら生きていく。」姿勢が1人経営においては賢明。
  • 役員給与を3分の1ずつ、次の3項目に分ける。
    (800万円なら266万円ずつ振り分けるイメージ)
    • 現在の生活費+遊興費
    • 税金と社会保険料
    • 将来への投資(貯蓄や運用)
  • 自分の納得いくお金の使い方そしてこそ、人生は幸せになれる。
  • 自分や家族が生活していくうえで、最低限必要な利益をきちんと確保する。
  • 1.人的資本(働いて稼ぐ力)、2.社会資本(社会や周囲との関係性)、3.金融資本(お金や資産)の3つすべてを潤沢に持つ必要はないが、2つ以上は持っていた方がいい。
    1. 人的資本:1人経営で最も重要なのは、「健康とスキル」。
    2. 社会資本:程よいバランスで社会との関わりを持つことが、長い目で見れば役に立つ。
    3. 金融資本:コツコツ蓄えを増やしていくスタイルが基本。
      ※まずは1つ、自分が得意な分野をしっかり積み重ね、その成果を活かして他の資本を伸ばすのが理想。
      ・人的資本が強い人は、稼いだお金で金融資本を育てる。
      ・社会資本はの豊かな人は、人脈を活かして学びを得たり、仕事を増やしたりする。

6.「仕組み」で時間を作り再生産する

『「仕組み」で時間を作り再生産する』では、主に以下のことが述べられています。

  • 自分が仕事を抱えすぎないこと。外注する際も、相手に負担をかけすぎないこと。
  • AIを上手に使用して、仕組みをつくる。
  • 仕組み化で削減した時間をさらに仕事に回し、仕事に注げる時間を「複合的」に増やす。
  • 大事なのは、生まれた時間を、あえて別のことに再投資する。
    • ゆっくり休んだり、睡眠や運動に回したりして、健康を維持することも再投資。
    • 勉強等に使うのも有効。
  • 休養や趣味に回したりして、労働時間を際限なく増やさないことが大切。
  • 短縮した時間を賢く再投資すれば、さらに効率化が進み、結果的にもっと余裕のある生活を手に入れられる。
  • 仕事は人生の一部であり、あくまで仕組みのひとつに過ぎない。
    →仕事だけが人生の最重要要素ではない。
  • その仕事を人生の本の一部として位置づけ、他の時間(生活や育児、趣味、勉強、癒し、運動、睡眠など)をしっかり確保しながら生きるほうがよい。
  • 仕組化で「効率UPや自由時間の創出」を目的とする。
  • 1人経営の「仕組み」の作り方
    ※同じことを何度も繰り返し手作業で行うのを避ける。
     →AIや機械に任せられる作業は任せるのが当たり前。
    1. まず普段の仕事をすべてリスト化してみる。
      「手間のかかっている可能性のあること」を漏れなく洗い出す。
    2. 次にそれぞれの作業を自動化できないか検討する。
      「AIやプログラムで置き換えられないか」「システム化で時間を短縮出来ないか」考える。
    3. 対応策を記録し、順次実行していいく。
      AIを使用して実行する。
  • 高額なシステムに頼りきるのではなく、自分で可能な範囲で仕組みを開発・活用し、効率化を進める。

7.AIの力を得て飛躍する

「AIの力を得て飛躍する」では、主に以下のことが述べられています。

  • 1人経営にAIをどう取り入れるか。
  • 「これはAIに任せられないか?」という問いを日頃から持つことが大切。」
    常に新しいツールを試し、AIで作業を効率化できるかを模索する。
  • PDFで受け取った資料の内容をWordやExcelにまとめたり、ソフトに入力したりといった作業等にも、AIを活用する。
  • 大切なのは、自分の仕事を「なるべく手作業でならない」という発想を常に持ち、人間にしかできない創造的な作業に集中する。
  • 「AIを活用し、1人経営のコストは下がり、業務効率が上がる」形が実現できる。
  • AIが苦手とする創造的な領域や人間らしい判断が求められる仕事に注力する。
  • AIに置き換わりづらい仕事を持ちつつ、AIを最大限利用する。
    AIを上手に取り入れつつ、AIに奪われない仕事を意識して行動することが大切。
  • 「AIが苦手な仕事」をあえて選ぶ。
    AIが苦手とする作業とは、「人間が介在しなければ成立しにくい領域」

8.1人経営の実例と、目指す姿を考える

「1人経営の実例と、目指す姿を考える」では、主に以下のことが述べられています。

  • 1人士業事務所、1人医師、1人飲食店等を例に、実例と目指す姿が書かれている。

9.自分らしい生き方を手に入れる

「自分らしい生き方を手に入れる」では、主に以下のことが述べられています。

  • どんな事業をするかでなく、どのように時間を使い、どんな行動をとるかを決められるのが1人経営の魅力。
    1人ならやり方や時間配分を自由に決められるので、自分が幸福感を得られる時間を増やしやすい。
  • 自分にとって何が幸せなのかをはっきりさせ、その道を歩み続ける。
  • 重要なのは、幸せをどれだけ長く維持できるか。
    自分の幸せを途切れさせないためにはどうすればいいか意識し、行動する。
  • 経営計画を作って実行し、それを定期的に見直して時代に合った形に変えていくことで、自分の幸せな状態を維持しやすくなる。
  • 1人経営なら、まず自分の幸せを最優先にできる。
  • 1人なら、状況に合わせて柔軟に計画や方法を変え、常に自分の幸せを追求してスタイルを維持できる。
  • 事業を通じて周りを幸せにできる。多くの人が抱える面倒ごとや悩みを解決する。
  • 自分のペースで働き、好きなことや趣味に時間を使えば、仕事の辛さも和らぐはず。楽しむことが最優先でも問題ない。
  • 心身の健康を保ち、仕事もプライベートも楽しむことこそが、1人経営の本来の醍醐味。
  • 1人経営を長く続けるには、あまり思いつめずに気楽にやることが一番。

最後に

以前、著者の「社員ゼロ! きちんと稼げる「1人会社」のはじめ方(明日香出版社)」を読み、さらに詳しく知りたいと思い、本書を読んでみました。
1人経営は全て自分ひとりでしなければならないですが、反面全て自分で時間を決めることができるので、経営の自由度も高く、自分の思うように事業活動ができ、自分らしい生き方をするにはメリットが多いと思います。
改めて、1人経営の魅力を感じました。

わたしの、「社員ゼロ! きちんと稼げる「1人会社」のはじめ方(明日香出版社)」に関する書評については、こちらをご覧ください。

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