大杉潤氏の本は以前「定年ひとり起業」のシリーズの本を読み、定年後の働き方について参考となるところが多くありました。
私の定年後の働き方の方向性を決めるきっかけともなりました。
更に定年後の働き方を考える上で参考になることがあるのではないかと思い、同著者のこちらの本を読んでみました。
「定年後不安」(大杉潤著 KADOKAWA)
人生100年時代の定年後の3大不安は、「カネ」「孤独」「健康」であり、その3大不安をいかに解決していけばよいか、実践方法が述べられています。
本書は、以下の5部構成になっています。
- 人生100年時代の「トリプルキャリア」とは?
- 100年人生の「時間術」
- 100年人生の「コミュニケーション術」
- 100年人生の「情報リテラシー」
- 100年人生の「健康法」
1.人生100年時代の「トリプルキャリア」とは?
『「人生100年時代の「トリプルキャリア」とは?』では、主に以下のことが述べられています。
- 定年後の選択肢
1.定年再雇用
・最もリスクが高い。再雇用終了後に稼ぐ手段がない。
2.出向
・チャンスがあればチャレンジと前向きに取り組むのも選択としてはあり。
3.転職
・一部の技能を持った人以外は、一般的には厳しい。
4.起業
・定年がなく、仕事を辞める時期を自分で決めることが出来る。
・ひとり起業(人を雇わない、パートナーと2人でビジネスをする)なら、
大きな初期投資は不要。
・定年後の起業は意外とリスクが少ない。
・経費の計上ができる。
※稼ぐより、稼ぎ続けることが大事。長く働き続けることが大事。
※75歳前後で体力的にも無理のない「働き方」へのシフトが重要。
好きな時間・場所、仲間で仕事をする。
- 「トリプル・キャリア」を作る。
*第1のキャリア(ファーストキャリア)
「会社員」として、「雇われる」働き方。
*第2のキャリア(セカンドキャリア)
「雇われない働き方」
→50代前後からシフトするか、本格的に以下の準備をする。
・専門性を基礎として自分が好きなこと、得意なことを組み合わせて、
オリジナルなビジネスモデルを構築する。
・50代からどんな仕事が将来のマーケットで売れる経験やスキルになるか
見極めて、磨いておく。
*第3のキャリア(サードキャリア)
「理想の働き方」
→目指す収入、仕事のやり方を自分が最もいいと思うライフスタイルで過ごす。 - 自分の「専門性」に変え、3つの「専門分野」を組み合わせる。
①会社員としてのキャリアをしっかり棚卸しして、現役時代に磨いておく。
→独立の準備をしておく。
②自分が好きなこと、得意なことは何か問い直し、その好きに沿ってビジネスモデルを考える。
③これからの世の中のニーズ、社会で求められる市場性をよく捉え、
時代の潮流に合ったビジネスモデルにする。 - 第2の人生(セカンドキャリア)は、「好きなこと」を仕事にする。
①「好きなこと」を事業の軸にする。
→事業は辞めないことが成功する秘訣。そのため「好きなこと」を軸にする。
②何で社会に貢献するのか、事業理念を明確にする。
→「事業理念」は仕事の「軸」がブレないという意味で大切。
③自分だけのオリジナルな価値を提供する。
→どんなことで貢献するかを明確にする。
④家族以外を雇わない小規模で事業を立ち上げる。
⑤借金をしない。
→④、⑤はリスクを最小限に抑えるため。 - 第3の人生(サードキャリア)は、好きな「時間」「場所」「仲間」と働く
*時間:時短勤務も可能。
*場所:カフェ、リゾート地で仕事をする。古民家を安く借りる。等
*自己投資して、自分の知識やスキルを磨くことが大切 - サードキャリアを成功させるポイント
①顧客が継続して存在し続けること。
②長い期間の「継続」が重要。
→最大のポイント:好きなことを継続する。
③「夢」や「目標」を掲げて外に向かって宣言して、そこに向かってビジネスを進める。
→ライフワーク
2.100年人生の「時間術」
『100年人生の「時間術」』では、主に以下のことが述べられています。
- 45歳の転換期に自分がモデルとして真似たいと思う人を見つけて、その人の「時間」の使い方を真似ることから始める。
*複数の人を見つけ「いいとこ取り」をするように真似る。
そして、独自の「時間術」を組み立てる。 - 55歳で役職定年した場合は、会社の仕事の中で自由に使える時間が増える。(マネジメント業務がなくなる等)
*空いた時間を利用して、「専門性」に磨きをかける。 - 65歳からも働くために「大切な3つのこと」
①「人に役立つ専門性」を磨き上げ、長く続けられる好きなことをする。
②変化する社会のニーズに対応できるように学び続ける。
③健康・体力を維持するための生活習慣を確立する。 - 人に役立つ専門性の見つけ方
①これまでの仕事をベースにする。
②自分が好きで長く続けたいことを全面に出す。
③世の中のニーズに対応して、進化し続ける、学びを続ける。 - 変化する社会のニーズに対応するには、学び続けることが大切。
- 健康と体力を維持するための生活習慣。
*規則正しい生活をする。
→朝方の生活習慣で、早寝早起きをし、徹夜したり無理しない。
*「瞑想」等、「一人で思案する時間」を毎日持つことは有効。 - 75歳からシフトチェンジできる働き方
*長く働き続けるには、「無理をしない働き方」にシフトする。
*そのポイント
a .働く「時間」を制限する。
→自分の疲労や体力を考えてゆとりのある形に変えてゆく。
b .働く「場所」を制限する。
→自宅から遠くないエリアに限定する。
c .受け取る「報酬(収入)」も制限するが、ゼロにはしない。
→「人に役に立っている」というやりがいと報酬を得ることによる
「緊張感」を維持するため。
3.100年人生の「コミュニケーション術」
『100年人生の「コミュニケーション術」』では、主に以下のことが述べられています。
- 人生のステージで変化するコミュニティ
*成長の過程で家庭から学校そして会社へとコミュニティが変わり、
退職後は家庭、会社以外に「サードプレイス」という場を持ち、
一定の時間を過ごすライフスタイルを作ることが必要。
※サードプレイス:くつろげる居心地のいい場所 - 孤独と無縁の人間関係をサードプレイスで作る。
- サードプレイスで長くつづく人間関係を作る。
- コミュニケーション術の3つのステップ
①相手の話をよく聴き、相手を受け入れる。傾聴する。
②質問することで相手をよく理解し、信頼関係を作る。
③自分の思いを相手に伝える。 - 新しいコミュニティに入る時は、まず自分の常識、考え方や価値観が違う相手のことを認めることが最も大切。
- 新しいコミュニティで人間関係を作るには、相手に興味を持ち、深く知ることで理解し、信頼関係を構築する。
*質問する場合は、相手に興味、関心があることが伝わるように行う。 - コミュニケーションにおいて、「質問」と「傾聴」は効果がある。
- 長く人間関係を作るためには、こちらから相手に「伝える」
→相手にどう貢献できるかという点で相手に伝える。 - 自分とは考え方や行動パターンが違う人が多く、「わかり合えないのが当たり前」と思って、コミュニケーションをとった方がうまくいく。
- IT活用によるコミュニケーションを活用すると、年齢を重ねてコミュニティを自宅のある地域を中心としたものに縮小しても、ネットなら距離を超えたコミュニケーションが可能。
4.100年人生の「情報リテラシー」
『100年人生の「情報リテラシー」』では、主に以下のことが述べられています。
- 情報のインプットを継続的に行い、それを使える記憶として定着させるポイント
①好きなことに関する情報を好奇心をもってワクワクしながらインプットする。
②右脳を活用して、イメージや映像を思い浮かべながらインプットする。
③収集している情報の背景、周辺情報および関連情報(メタ情報)を併せてインプットする。
④音読や書くなど、五感を刺激しながらインプットする。
⑤何度も目のつくところに表示するなど「自然記憶力」の力を使う。
⑥忘れることは何度でも覚え直す。 - インプットだけでなく、アウトプットを行うことも脳を鍛える上では重要。
- アウトプットすることで、インプットした情報が整理される。
- 40〜50歳代から始める定年後の将来を見据えた「戦略的インプット」のポイント
①自分の「専門性」を磨き、深掘りする情報をインプットする。
②自分が好きで、興味・関心のあるテーマを追いかけ「専門性」と結びつけることで、
オリジナリティのある体系にしていく。
③世の中の大きな潮流を早く正確にキャッチして、自分の専門や関心領域と結びつけて
自分の頭で考えてみる。
④アウトプット(情報発信)を前提とした情報の整理・体系化を意識しながら
インプットしていく - 専門性、好きなこと、変化する社会のニーズの3つの観点から自分なりの情報領域を決めて、自分オリジナルな整理の仕方をしてゆく。
- 情報のアウトプット法について
①自分の手で要点をメモに書いておく。
②なるべく時間をおかずに「X」の140文字以内の短い文章でポイントを
アウトプットしておく。
③ブログの記事として、本の要点、書評、自分が得られたことなど、整理した情報として
発信、公開する。
→・専門テーマを決めて、ある程度のボリュームの情報を継続的に発信できる。
・情報発信の範囲が広くかつ極めて低いコストで発信できる。
・発信したコンテンツがストックとして蓄積され、
検索により求める情報にアクセスすることが容易である。
5.100年人生の「健康法」
『100年人生の「健康法」』では、主に以下のことが述べられています。
- 働くから健康になる理由について
①仕事が脳に刺激を与えて活性化させるため「認知症」になりにくい。
②仕事にかかわる仲間との交流が続き、「孤独」にならない。
③毎日スケジュールが組まれて「規則正しい生活習慣」を作れる。
④プロとして報酬を得る「緊張感」を維持できる。
⑤未来に向けた目標を立てることで、「前向きな気持ち」で生活できる。 - 「食事」と「運動」は健康維持に大事。
*「食事」について
・バランスよく食べる。
・料理は脳トレになる。
・自分の歯でしっかり噛んで食べることは、認知症予防の観点から重要。
・誤嚥性肺炎は、死因の第3位。飲み込む力を鍛えることが大切。
*「運動」について(運動の基本)
・ストレッチ
・筋トレ:スクワット運動、上体起こし運動
・バランス運動:開眼片脚起立運動
・有酸素運動:ウォーキング等 - 「心の健康」について
・朝、太陽の光を浴びる。
・気分転換の方法を自分なりに持っておくこと。
最後に
著者は、『「カネ」「孤独」「健康」という定年後の3大不安は、働き続けることを選択した瞬間に全て解決する。「働き続けること」は「学び続けること」であり、そうした「知的生活習慣」を確立することが、心身の健康を維持し、孤独からも無縁となり、カネの不安も解消する。』と述べています。
定年後も、健康面、金銭面から働き続けることの重要性を改めて認識することができました。
「トリプル・キャリア」を作ることにより、ステージで働き方を変えながら健康で長く働き続けることが健康面や金銭面からも大切であるということも同時に認識することができました。
定年後は、「健康」で「雇われない働き方」で長く働き続けることが、私の目標です。
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