「人生の経営戦略」(山口 周著 ダイヤモンド社)を紹介したいと思います。
この本は、ある本のおすすめに書いてあったので読んでみました。
経営学の理論を活用して、個人の「人生の戦略」に活用する方法を提示しています。
本書は、以下の6部の構成になっています。
- なぜ、いま「人生の経営戦略」なのか?
- 目標設定について
- 長期計画について
- 職業選択について
- 選択と意思決定について
- 学習と成長について
- 『なぜ、いま「人生の経営戦略」なのか?』では、以下のことが述べられています。
問題意識として、低成長が続く「難しい時代の到来」、将来のキャリアについて「準備のできていない人たち」、「二極化する人生論・キャリア論」について述べています。 - 「目標設定について」では、主に以下のことが述べられています。
◉「正しい戦略」は「正しい目標」が大前提で、時間資本を適切に配分することで、
持続的なウェルビーイングの状態を築き上げ、「自分らしい、いい人生だった」
と思えるような人生を送る。
◉時間資本を人的資本に変える、人的資本によって社会資本が増える、
そして社会資本が金融資本を生み出す。
◉ウェルビーイングは、①自己効力感(人的資本)、
②社会的つながり(社会資本)、③経済的安定(金融資本)に整理できる。 - 「長期計画について」では、主に以下のことが述べられています。
◉人生は4つのステージがある。
・人生の春(試す) :~20代
・人生の夏(築く) :30代~40代
・人生の秋(拡げる):50代~60代
・人生の冬(与える):70代~
◉上記の季節に応じて「合理的な振る舞い」や「役割・貢献」が変わる。
知的生産性は40代がピーク、人生の後半では異なる知性(結晶性知能)を
活用する。
◉戦略は、「長期の合理」が大事。
長期的な視点で計画する。
◉「キャズム」について
新たな機会や兆し、時期を早期に捉え、適切なタイミングで行動する。
◉「適応戦略」について
想定外の出来事をチャンスとして取り込む戦略。 - 「職業選択について」では、主に以下のことが述べられています。
◉ポジショニング(しかるべき時に、しかるべき場所にいる)が重要
・自分の強みや市場を分析して、最適なポジションを見つける。
・多様な経験を積み、自分に最適な居場所を見つける。居場所の固定化はしない。
◉「楽しむ人」にはかなわない。
◉他人には「模倣できない特徴」に注目する。
自分が「長く続けてきた」ことを活かす。(他人に対しての競争優位性)
◉「ポートフォリオ」のメリットについて
多様な経験やスキルを組み合わせることで、新しいキャリアの機会が広がる
とともに、経済的リスク分散にもなる。 - 「選択と意思決定について」では、主に以下のことが述べられています。
◉「ブルーオーシャン戦略」について
自分ならではの能力の「(新しい価値の)組み合わせ」をつくる。
◉「打率」より「打席の数」を重視する。
多くの経験を積み、創造性を高める。
(打率は運が関わってくるが、打席の数は意識次第で増やせる)
◉「どちらに転んでも得な法を選ぶ」
相手に対して優位を保てる選択をする
◉「将来生み出す価値」に注目して時間配分する。
・「すぐに役立もの」ばかりに手を出すのは危険。
・「リターンの期間」が重要。 - 「学習と成長について」では、主に以下のことが述べられています。
◉「バランス・スコア・カード」について
「大事なこと」を書き出してスコア化する。評価には短期と長期を混ぜる。
◉「ベンチマーキング」について
・行き詰まったら素直にまねてみる。
・まねるだけでなく、他者から学び自分の状況に応じて最適化する。
◉経験とは「良質な失敗」のこと。
「全部うまくいっている」は危険な兆候
◉自分の「弱さ」を資源として考える。
◉毎日を研修にする。
◉「支配する」のではなく、「支援する」
◉「流動性知能」は20歳前後にピークに達し、40代以降は急速に低下し、
「結晶性知能」は年を追うごとに上昇し、50~60代にピークを迎え、
その後高原状態を維持する。
◉「結晶性知能」とサーバントリーダーシップ(権力に頼らない「支援的なリーダーシップ」)は相性がいい。
本書は、経営学の理論を通じて、人生の成長や幸福を戦略的にデザインする方法が書かれています。
実践的なアドバイスも多く書かれており、今後の人生の方向性に悩んでいる方にとっては有益な1冊になるのではなかと思います。
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