今回は、私が勤めている会社のグループ会社が県をまたいで本店の移転登記(本社の移転)を行いましたので、その時に「社会保険・労働保険」等に関して、どのような届出を行ったのか、お話ししたいと思います。
労働保険の年度更新の時期と重なり、かつ、継続事業の一括を行っており、更に労働局をまたいだ変更であったため、特に労働保険に関する手続きが全て完了するの3ケ月かかりました。
今回のケースは、県をまたいで、かつ、これまで営業所であった拠点(以下、B営業所)を本社として移転登記し(本社とB営業所の住所は同じ)、これまで本社であった拠点(以下、A営業所)を近くに移転の上、一営業所(前本社とA営業所の住所は同じ)にしたケースです。
なお、労働保険は一元適用事業です。
なお、行った届出は以下の通りです。
- (健康保険・厚生年金)「適用事業所名称・所在地変更(訂正)届」※管轄外
- (雇用保険)事業主事業所各種変更届
- (労働保険)名称、所在地変更届
- (労働保険)保険関係成立届(A営業所分)
- (労働保険)継続事業一括認可申請書(A営業所分)
- (労働保険)継続事業一括取消申請書(B営業所分)
(健康保険・厚生年金)「適用事業所名称・所在地変更(訂正)届」について
今回のケースは、管轄外(年金事務所の管轄を越えて)の事業所の所在地変更です。
手続の概要
届出期限
変更があった日から5日以内
同一都道府県内の場合:届出日の翌月1日より変更
都道府県外の場合(今回のケース):届出日の翌月1日または翌々月1日より変更
※但し、※届書受付日によって異なる場合あり
添付書類
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)のコピー(提出日前90日以内に発行されたものに限る)
登記簿謄本のコピーを添付しなければならない為、実際には変更日から5日以内の提出は不可能で、本店移転登記後、登記簿謄本を入手した後、速やかに提出するようになると思います。
提出先
移転前の営業所の所在地を管轄する年金事務所
提出方法
e-Govから電子申請
(他に郵送、窓口持参)
参考
日本年金機構HP(適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄外の場合))
(雇用保険)「事業主事業所各種変更届」について
手続の概要
届出期限
変更のあった日の翌日から起算して10日以内
労働保険番号を記入する欄がある。
一元適用事業のため、「(労働保険)名称、所在地変更届」を提出して、新労働保険番号を振り出してもらった後に新労働保険番号を記入して届出をしなければない。
添付書類
・「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」のコピー
・「(労働保険)名称、所在地変更届」のコピー
・最寄りの駅又はバス停から営業所までの道順の略図
※Googleマップを印刷して添付しました
提出先
移転後の営業所の所在地を管轄するハローワーク
提出方法
e-Govから電子申請
(他に郵送、窓口持参)
一元適用事業の場合
はじめに移転後の所在地を管轄する労働基準監督署へ確認書類等を添えて「労働保険名称、所在地等変更届」を提出。
その後、移転後の所在地を管轄するハローワークへその控を添えて「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出。
参考
(労働保険)「名称、所在地変更届」について
年度更新の時期と重なったため、労働局と相談した結果、移転前の事業にて通常通り年度更新を行った後に、「名称、所在地変更届」の提出を行った。
この届出を提出することにより、新たに指定事業となるB営業所の新労働保険番号が振りだされる
手続きの概要
届出期限
変更のあった日の翌日から起算して 10 日以内
添付書類
「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」のコピー
提出先
移転後の所在地を管轄する労働基準監督署
※一元適用事業のため
提出方法
e-Govから電子申請
(他に郵送、窓口持参)
参考
厚生労働省作成:「雇用保険事務手続きの手引き」
千葉労働局作成:「継続事業一括申請の手引き」
(労働保険)「保険関係成立届」(A営業所分)について
移転日を保険課関係成立日として、新住所、新名称で届出。
これまでA営業所が指定事業だったが、A営業所は指定事業でなくなり被一括事業になるため、新たに「保険関係成立届」を提出した。
この場合、A営業所は継続被一括事業であることを伝えて、労働保険番号を振ってもらう。
手続きの概要
届出期限
保険関係が成立した日の翌日から起算して 10 日以内
添付書類
なし
※今回のケースでは必要なかったが、念のため事前に提出先に確認ください。
提出先
A営業所の所在地を管轄する労働基準監督署
※一元適用事業のため
提出方法
e-Govから電子申請
(他に郵送、窓口持参)
参考
厚生労働省作成:雇用保険事務手続きの手引き
千葉労働局作成:「継続事業一括申請の手引き」
今回の場合は、年度更新の上、B営業所への「名称、所在地変更届」を提出後の届出であったため、保険関係成立後10日以内の届出は不可能だった。
(労働保険)「継続事業一括認可申請書」(A営業所分)について
これまでA営業所が指定事業だったが、A営業所は指定事業でなくなり、B営業所が指定事業となり、A営業所は被一括事業になるため、「継続事業一括認可申請書」を提出。
手続きの概要
届出期限
申請をしようとする都度すみやかに届出
添付書類
なし
※今回のケースでは必要なかったが、念のため事前に提出先に確認ください。
提出先
指定事業(B営業所)の所在地を管轄する労働基準監督署
提出方法
e-Govから電子申請
(他に郵送、窓口持参)
参考
厚生労働省作成:雇用保険事務手続きの手引き
千葉労働局作成:「継続事業一括申請の手引き」
(労働保険)「継続事業一括取消申請書」(B営業所分)について
B営業所は、本店移転前は一営業所でA営業所を指定事業として、被一括事業であったが、「名称、所在地変更届」提出時に指定事業として、労働保険番号が振りだされているので、被一括事業の取消申請書を提出。
被一括事業として整理番号がついているので、一括取消をする必要がある。
手続きの概要
届出期限
申請をしようとする都度すみやかに届出
添付書類
なし
※今回のケースでは必要なかったが、念のため事前に提出先に確認ください。
提出先
指定事業(B営業所)の所在地を管轄する労働基準監督署
提出方法
e-Govから電子申請
(他に郵送、窓口持参)
参考
(参考)「電子証明書」について
今回の届出は、全て電子申請で行いました。私の勤めてい入る会社では基本的には電子申請で各種届出を行っています。
その際に必要になるのが、「電子証明書」です。
「電子証明書」は、法務局で発行してもらっていますが、「電子証明書」に記録された事項(本店の移転の登記等)が行われると当該「電子証明書」は失効して使用できなくなります。
「電子証明書」が失効すると電子申請が出来なくなりますので、法務局で「電子証明書」の再発行の申請をする必要があります。
今回のケースも「電子証明書」が失効しましたので、管轄法務局に「電子証明書」の再発行申請を行いました。
再発行については、こちら〔法務局HP(電子証明書再発行申請)〕を参照ください。
(参考)税務関係の届出について
このほかに税務関係の届出が必要になります。
以下の届出を税務署等に行っていますので、参考までに。
- 給与支払い事務所の移転届出書(提出先:移転前の管轄税務署)
- 法人税・消費税異動届書(提出先:移転前の管轄税務署)
- 適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書(提出先:移転後の管轄税務署)
- 県税異動届(提出先:移転後の管轄県税事務所)
- 市税異動届(提出先:移転後の所在する市)
- 特別徴収義務者の所在地・名称変更届出書(提出先:移転後の所在する市)
まとめ
県をまたいで、かつ、これまで営業所であった拠点(B営業所)を本社として移転登記し、これまで本社であった拠点(A営業所)を近くに移転の上、一営業所にしたケースについて、実際に行った手続きについて解説してみました。
特に労働保険は冒頭にも書きましたが、年度更新の時期と重なったことと、県をまたいでの移転であったため、管轄の労働局も変更になった関係からか、「名称、所在地変更届」を提出してから、最後の「継続事業一括取消申請書」を受付してもらうまでに3ヶ月かかりました。
(最も長かったのは「名称、所在地変更届」で、提出から受付まで約1.5ヶ月かかりました。)
このように期間がかかることも念頭置いてに届出されること良いかと思います。
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